INTERVIEW

東京五輪陸上100mHを終えて
「スポーツを通した自分との向き合い方」
佐藤寿人 × 木村文子
-前編-

個人・チームを問わず、アスリートには心のコントロールが欠かせない。技術力の高いアスリートでも、心に乱れが生じれば大成は難しい。自分の心は他人には分からない以上、自分自身が向き合って行かなければならない。自分との向き合い方を身に付ければ、スポーツだけでなくビジネスにも活かされるだろう。

今回は、元サッカー日本代表でJリーグのMVP・得点王に輝いた佐藤寿人さん、そして東京オリンピック陸上競技女子100mハードルに出場した木村文子選手へのインタビューをお届けする。トップアスリートとして幾多の苦難を乗り越えてきたお二人に、「自分との向き合い方」を見つけるためのヒントを聞き出した。

 

声援は毒にも薬にもなる。東京オリンピックから得た気づきとは

──今回のゲストは元サッカー日本代表の佐藤寿人さん、そして東京オリンピック陸上競技女子100mハードルに出場した木村文子選手です!

佐藤 よろしくお願いします。

木村 よろしくお願いします。

 

──まずは、先日まで繰り広げられた東京オリンピック、本当にお疲れ様でした。オリンピックでは類を見ない、無観客での開催。選手として、色んな経験をされたのではないでしょうか?

木村 そうですね。無観客のオリンピックは初めてだったので、ロンドンオリンピックとは違う感覚でした。

 

──声援がパワーに変わる、というトップアスリートの方も多いですよね。佐藤さんの現役時代はいかがでしたか?

佐藤 昨シーズンまで現役だったので、僕も初めて無観客でのプレーを経験しました。公式戦ですがスタジアムで声を出せなくて、公式戦とは違った雰囲気でした。シーズン最終戦まで無観客のままで引退することになって、寂しい部分はありましたね。でも、それまでの20年間は声援で背中を押してもらっていたので、最後にちょっと違う経験するのも良かったかなと、前向きに受け止めています。無観客のオリンピックでも、自分自身も含めてテレビでたくさんの人が観ていました。ただ、出場する側の選手としては、やりにくさを感じる方もいたのかなと思います。木村選手はどうでしたか?

木村 初めてのオリンピックだったロンドンでは8万人という観客がいて、地に足が付いていない感じでした。今振り返るとすごく緊張していて、自分のペースで競技できなかった気がします。でも今回は無観客と知った上で臨むことになったので、自然と自分のことだけに集中できました。観声が嬉しくて自分のペースが乱れることもあるので、ある意味では良かった面もあるのかなと思います。

 

──声援がない分、自分の世界に入り込めるということですね。

佐藤 サッカーだと入り込めませんね(笑)。スタジアムで応援してくれる方々は、いい意味で緊張感を作ってくれるので。無観客だと、どの公式戦でも練習試合のような感じになってしまう難しさはありましたね。

 

──佐藤さんは指導現場にも行かれていますが、ジュニアのサッカーはどうですか?

佐藤 僕の指導現場は、サッカーやりたくて仕方ない子達が集まっています。逆に「休め」と言っても、すぐにボールを蹴りに行ってしまう。でも、それは健全なことですし、むしろ上手くなる素質があると思って見ています。子どもは退屈な方よりも、楽しい方を選びますよね。サッカーが楽しいと思ってくれている。

 

──ある選手からのお話ですが、何万人という観客の中でプレーする選手になると、アドレナリンが出すぎて寝られないことも。8万人の観客がいたロンドンオリンピックの時も、アドレナリンは出ましたか?

木村 すごかったです(笑)。初めての体験でした。

1年の延期を乗り越え出場した東京五輪女子100メートルハードル予選で力走する木村文子選手(右端)/ Getty Images 

オリンピック選手を生み出したのは「自己探索型の指導法」

──木村選手は、どのように陸上競技と出会ったのでしょうか?

 

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