INTERVIEW

#01
第2回
オリンピアンから学ぶ、クリティカル思考力
永井友理×荒木博行

SPODUCATIONでは、「難しい」と捉えがちな「MBA」のビジネススキルをスポーツフィールドを例に、誰でもわかりやすく解説するオンラインセミナーを開催。指導現場においても、暗黙知とされている部分を形式知化し、スポーツ選手の持つアート的側面を、サイエンス的側面で紐解いていきます。第2回はゲストに東京オリンピック2020ホッケー女子日本代表として出場した永井友理選手、講師には人材育成や経営戦略支援に携わり、「株式会社学びデザイン」代表取締役社長を務める荒木博行氏を招き、「クリティカル思考力」をテーマに対談を行いました。ビジネスはもちろんスポーツでも注目されているクリティカル思考の概念を、永井選手の実体験を通じて、人材育成のスペシャリストである荒木氏がわかりやすく解説します。

 

ホッケーという競技の特性とメンタル

荒木 まず簡単に自己紹介をしておきます。僕はさまざまな会社のアドバイザーとして、“学ぶ場”を提供する会社を経営し「頭の使い方、考え方」を教えています。教育業界に長くいたこともあって、上は70歳越え、下は幼稚園児と幅広い指導経験があります。スポーツ選手にも考え方のアドバイスをしているので、今回はとても楽しみにしていました。友理さん、よろしくお願いします。まずは、改めてホッケーの魅力をお聞かせください。

永井 ホッケーは、簡単に説明するとスティックを持ってボールをゴールに運ぶスポーツで、サッカーに似ています。シュート、ゴールシーンが魅力とよく言われますが、私が思うのはスポーツマンシップにのっとっているところ。スティックやボールは凶器のようにも見えますが、そこまで大きな怪我はしません。そこが魅力かと思います。

荒木 スティックもボールもすごく硬いので、間違えば骨折とかしてしまいますよね。僕が10年くらいやっているラグビーにも似ている部分があります。ボディコンタクトが大前提のスポーツで、猛ダッシュしてくる人に正面からぶつかることが日常茶飯事。常に怪我や恐怖心と隣り合わせなので、メンタルが大きく影響するスポーツです。ホッケーのスティックも凶器みたいですが、メンタル面でどういう影響がありますか?

永井 恐怖心という意味ですよね? 正直、いまだに「怖い」という気持ちはあります。ゴルフボールを大きくしたような硬さで、当たったら痛いのは何回も経験して分かっています。でも試合になると違って、逆に「自分の身体で止めてやろう!」という気持ちになるんです。相手にゴールを狙わせないように、身体ごとボールに当たりに行ける、不思議なメンタルになります(笑)。ホッケーをやっている皆も、そう思っているかもしれません。

荒木 なるほど。おそらく、スイッチが入っている人と、入っていない人の違いかもしれませんね。その違いは、身体が動き出すまでのコンマ数秒のずれにつながります。ラグビーだと明確で、怖がって相手に飲まれると、タックルするポーズだけして言い訳する選手もいます。精神的にどちらが優位かは、すぐに分かります。負けると、どんどん突破されてしまうので。ホッケーでも、そういったことはありますか?

永井 ありますね。特にシュートに対しては、すごくあります。フォワードは「タッチシュート」を狙いに行くのですが、その時にスライディングをかけられるかどうか。味方が浮いたボールを打ってしまうと、ただ当たって怪我することもあります。自分が強いメンタルを持てている試合の時は、気にせずに飛び込みに行っています。それもコンマ数秒の差だと思いますね。

Getty Images

 

自分が引っ張るか、周りを活かすか――キャプテンの思考

荒木 今日お話しする「思考力」というのは、すごく難しいテーマなんです。考えることは、ある意味で恐怖心を思い出すことでもあるわけです。「冷静に考えると、ここで身体ぶつかったらめっちゃ痛いよね」と(笑)。考えることで、身体が動かなくなる瞬間はありますよね。それをなくすためには、動物のように本能的に動けるモードに入る必要があります。一方で友理さんは、キャプテンとしてゲームのコントロール、チームの状態の見極めという頭の使い方も必要ですよね。そのバランスは、どう取っていますか?

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