INTERVIEW

#03
第2回
オリンピアンから学ぶ、クリティカル思考力
永井友理×荒木博行

SPODUCATIONでは、「難しい」と捉えがちな「MBA」のビジネススキルをスポーツフィールドを例に、誰でもわかりやすく解説するオンラインセミナーを開催。指導現場においても、暗黙知とされている部分を形式知化し、スポーツ選手の持つアート的側面を、サイエンス的側面で紐解いていきます。第2回はゲストに東京オリンピック2020ホッケー女子日本代表として出場した永井友理選手、講師には人材育成や経営戦略支援に携わり、「株式会社学びデザイン」代表取締役社長を務める荒木博行氏を招き、「クリティカル思考力」をテーマに対談を行いました。ビジネスはもちろんスポーツでも注目されているクリティカル思考の概念を、永井選手の実体験を通じて、人材育成のスペシャリストである荒木氏がわかりやすく解説します。

 

#02はコチラ>

 

「考える」を見える化する判断軸の洗い出し

荒木 ここまでは、試合やチームメイキングの話が中心でした。もっと中長期的な頭の使い方の話についても、お聞かせください。友理さん自身のキャリア、自分がどういう道に進むべきかと考えた時に、どんな頭の使い方をされてきたのか。今までにも、人生の転機となる大きな「岐路」があったと思います。直近で、悩んだ岐路はありましたか?

永井 直近だと、オリンピックが終わった後ですね。結果を残すためにオリンピックへ行きましたが、及ばなくて。オリンピックだとホッケーの注目度も高まりますが、負けて結局まっさらになってしまうのを、何回も繰り返してきたのです。それで、「私もそろそろ潮時かな」と思って。現役を続けるか、引退するかで迷っていましたね。

荒木 それは8、9月くらいですか。その後、現役続行という意思決定をした理由はどんなことでしたか?

永井 やはり一番は、自分の責任をまだ果たせていないと思ったこと。私のホッケーをずっと支えてきてくれた方々に恩返ししたいのに、結果も残せていなくて。自分は本当に、まだ何もできていないというのがずっと頭にありました。もう少しやって、結果を残して恩返ししたい気持ちが大きかったですね。

荒木 なるほど。結果が大事な判断要素だったのですね。

永井 そうですね。結果が全てじゃないということは、自分でも分かっています。現役で結果を残すのか、また違った形でホッケーに携わって結果を残すのか、そこでも迷いましたね。ただ、自分の体力的にはまだやれそうだったので、やれるだけやって、その後に別の道を目指しても遅くないという考えもありました。でも、決め手は結果ですね。

荒木 結果に加えて体力的な部分、まだ続けられるかという見極めもあったのですね。それ以外にも、悩んだ時の判断軸は何かありましたか?

永井 とにかく私は周りの子達に恵まれていて、「まだ一緒にやりたい」と言ってくれた子もたくさんいるのです。「日本代表は辞めて、自チームだけでやる」という話もしましたが、「日本代表の友理さんをずっと見て頑張ってきたから、辞めないでほしいです」と言われて。そういうことを言われた時に、「まだ必要とされているのだな」と感じました。そういう子達に夢を与えられる立場なのだと気づいたのも、大きかったですね。

荒木 めちゃくちゃいいじゃないですか。結果、体力面、そして周りから必要とされているか、という3つの判断軸。最初の結果を深掘りさせてください。仮にどんな結果だったとしたら、引退という意思決定だったのですか?

永井 正直、オリンピック優勝というのは中々高いハードルだったので、そうは言い切れませんでした。とにかく、「ホッケーをもっとメジャーにしたい」という気持ち。結果を残したからメジャーになるとは限りませんが、そういう考えで今までやってきたのです。決勝に近いところまで勝ち進んで、子ども達が「ホッケーをやってみたい」と興味を持ってくれた時に、「現役引退でもいいかな」となるのだと思います。

荒木 でも、仮に今回の東京オリンピックで最高の結果を出して認知度が高まっていたら、なおさら引退していない気もしますけどね。

永井 どうなのでしょう。実際にそうなったら、逆にやりたいと思うのかもしれませんね(笑)。最近は、若い子達がすごく育ってきています。でも、「席を空ける」というのは、やっぱり違うなと感じていて。超えるくらいの気持ちでないと、いい子達は育たないと思っています。

荒木 本当にそうですよ。僕が言うのもおこがましいですが、最後まで全力でやって、「超えてみろ」という状況になって初めて、本当の世代交代が起こるような気がしますね。

永井 そうですね。でも変なプライドで、「自分の落ち目を見られたくない」みたいな気持ちもあって。落ち目を見せて引退は嫌だから、「ここで辞めておくのもいいのかな」とも考えました。でもそれも違うなと、最近になって感じましたね。

荒木 色んな経営者のメンターをやっていますが、ビジネスでも同じような意思決定のシーンはあります。この事業から撤退するか、そのまま続けるか。どちらに転んでも難しいですよね。その時には必ず、「判断軸の洗い出し」を一緒に手伝うのです。意思決定の明確な判断軸を持てれば、壁にぶつかった時に役立ちます。多くの人は、なんとなく「どうしよう」と悩みますが、「悩む」と「考える」は違います。悩むというのは、単に同じ所をグルグル回っているだけのイメージ。一方で考えるというのは、明確に判断軸を立てて、「どちらかな」と判断していく。自分が大事にしている要素を洗い出す。それができれば、色んな場面で応用が利くし、判断が早くなるのです。

ここから先はプレミアム会員限定コンテンツです。
アカウント登録をしてください。
今ならプレミアム会員に新規登録で14日間無料!
アカウント登録 ログイン

記事に対するコメント

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。

関連記事