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佐藤寿人 × 木村文子│「スポーツを通した自分との向き合い方」~東京五輪2020陸上100mHを終えて~

五輪延期の中でモチベーションを与えてくれたのは「小さな成長の喜び」

木村 そんな中、コロナの影響もあって地元で練習している時に、高校生と練習できる機会がありました。その高校生は、できなかったことができると「今日一日嬉しい」みたいな感じで、すごく喜ぶのです。自分の練習にも喜びはあるはずなのに、そこに気づいていませんでした。自分は元々「逆算思考」でしたが、社会人になって、その考え方が余計に強くなって。「よしここまで、次はこれ」と、次のことをどんどん考えている。合格点がすごく低い所にあって、一日を振り返って自分を褒めることはほぼしません。ゴールを決めて逆算することも重要ですが、日々の自分を褒めることも必要だなと感じました。それをやってみて、積み重なった先に東京オリンピックが見えたらいいなという気持ちになりました。モチベーションを保ちながら頑張ることが辛い時期でしたが、2020年はそういうことに取り組みましたね。

 

──以前の木村選手はストイックに追い込むだけ追い込んで、最後に目標達成した時だけ自分自身を褒めるやり方。それでモチベーションが保てず陸上の楽しさも薄れていた中で、一緒に練習した高校生をきっかけに変わったのですね。

 

木村 社会人として年数を重ねていくにつれて、そういうやり方が顕著になっていった気がします。

佐藤 ゴールがどんどん先にある感じですよね。

木村 そうですね。義務感と言うと少し違うのですが、「ここまでやるのは当たり前」という感覚で練習している自分がいました。その高校生を見て、「こんなに喜んでくれるんだ」と、ハッとしましたね。

 

──トップアスリートでも、高校生の練習からヒントが得られることもあるのですね。アマチュアの練習にも目を向ける、耳を傾ける、受け入れる。そういったことも、木村選手の能力なのかなと思います。

佐藤 自分の選手時代もそういった考えでやってきました。過去の成功体験は、未来を約束してくれるわけではありません。でも選手である以上、どうしても過去にすがりたくなってしまう。それをいい意味で切り捨てて、色んな事に目を向け耳を傾けることが、アスリートにはすごく大事。サッカーでも、自分に色んなアドバイスや気づきを与えてくれるチームメイトの存在は大きいのです。時には対戦相手も。最初から受け入れないスタンスでいたら、行き詰まった時に苦しくなります。僕は自然と、ゴールを奪うためのヒントがどこかに落ちていないか、探し求めているタイプでした。木村選手は高校生との練習で気づきを得て、自分の考えにつなげていけました。木村選手の話を聞いて、自分の考えと近い部分があるなと感じましたね。

木村 すごく分かります。答え探しというか、自分の中でピンとくるものを常に探しているかもしれません。

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