COLUMN

【♯05】中島輝│ やっぱりコミュニケーションがすべて。
心理学から見る最強のチームワーク-前編-

自身の引きこもり経験克服を機に独自のコーチングメソッドを開発し、多数の企業経営者、アスリートなどのカウンセリングを務める中島輝氏。ベストセラー『自己肯定感の教科書』の著者であり、“自己肯定感の第一人者”として注目を集める人気カウンセラーが、社会で生き抜くために必要な実践的な技術を連載形式でお届けする。

写真/川しまゆうこ 

 

心理カウンセラーの中島輝です。

今回とり上げるのは、「チームワーク」。「チームワークがいい」という言葉は、みなさんも日常的に使っていることと思います。ただ、「チームワークがいい状態」とは、具体的にはどういう状態を指すのでしょうか。

心理カウンセラーとしてわたしが考える「チームワークがいい状態」、そしてその状態にチームを導くための方法について解説していきます。

 

チームワーク向上に欠かせないコミュニケーション

 「チームワーク」を直訳すると「集団で行う作業」ですが、わたしなりにもう一歩踏み込んで考えてみました。わたしの考えでは、チームワークとは、「多様な価値観や思考、活動パターンを持つ複数の人間が、ともに目指すべき目標に向かって協力する力」になるでしょうか。

 では、そのチームワークを発揮している、「チームワークがいい状態」とはどんな状態なのか。わたしは、ただメンバーが互いに協調するにとどまらず、「メンバー同士のつながりの相乗効果としてそれぞれの力を高めることができている状態」だと考えます。

 人はそれぞれに能力を持っています。それらの一つひとつの能力を高められれば、当然ながらそのチームの総合力もそれだけ増していくでしょう。そうできてこそ、「チームワークがいい」といえるのだと思います。

 では、どうすれば「チームワークがいい状態」に至ることができるのでしょうか。チームワークがいい状態とは、メンバー同士のつながりのなかでそれぞれの力を高められている状態でした。そう考えると、チームワークを高めるために絶対に欠かせないのは、「メンバー同士が互いの力を理解できている」ことです。

 完璧な人間などどこにもいません。わたしたちは、それぞれが強みを持っていれば弱みも持っています。メンバー同士が互いの力を理解し、それぞれの強みを徹底的に活かし、逆に弱みをカバーしてチーム力の最大化を図るわけです。そして、そのためになすべきことは、メンバー同士の深く密な「コミュニケーション」です。

 こうしたコミュニケーションができていれば、さらなるメリットも生まれるでしょう。互いの強みと弱みを理解してチーム力を最大化できるだけでなく、メンバー同士のコミュニケーションを通じて「新たな発想が生まれる」こともあるはずです。

 新たな発想とは、スポーツチームの場合であればより効率的で効果的な練習法、企業組織であればより生産性の高い業務の進め方といったことです。そういった改革を経ることで、チーム力も個々の力もさらに向上するという好循環を生むことになるでしょう。

個々が互いの強みと弱みを理解することでチーム力が最大化され、新たなた発想をも生み出す/ Getty Images

 

チームワーク向上のためにリーダーが果たすべき役割

 しかし、この「チームワークがいい状態」にチームが至るためには、もうひとつ重要な要素があります。それは、チームの活動のベースとなる「明確な目標を設定する」ことです。

 いくら優秀なメンバーがそろっていても、それぞれが向いている方向がちがっていてはチームワークが高まるはずもありません。そういう意味では、リーダーの役割もとても重要となります。そして、この「明確な目標を設定する」ことも、まさにリーダーの役割のひとつです。

 目標設定のコツは、「具体的な数字を使った定量的な目標を掲げる」ということ。想像してみればすぐにわかることかと思いますが、「頑張ろう!」なんてあいまいで感覚的な目標では、頑張れるものも頑張れません。そうではなく、「○年の大会で△位以内に入る」「□年までにチームの売上を×%アップさせる」というふうに、数字を使って目標を掲げる。そうすることで、メンバーの足並みがそろいやすくなります。

 また、その目標達成のために個々のメンバーができることを示すとともに、「だから、あなたはここにいていいんだ!」「いてほしい!」と各メンバーにいわゆる心理的安全性を与えることもリーダーの役割です。

 個人では高い能力を持つ人間だとしても、「自分はなんのためにこのチームにいるのか」という確信を強く持てていなければ、チームのために尽くすことも、本来の能力を発揮することも難しくなるからです。

スポーツにおいてもビジネスにおいても、チームの指揮を執る者があいまいな指示ばかりだしていては足並みは揃わない。明確な目標設定が本来の個々の能力を引き出すことになる/ Getty Images

 

多様性を受け入れることが、チームワークの可能性を広める?

―#05後編に続く―

 

PROFILE

中島輝(なかしま てる) | 「トリエ」代表 /「肯定心理学協会」代表
心理学、脳科学、NLPなどの手法を用い、独自のコーチングメソッドを開発。Jリーガー、上場企業の経営者など1万5000名以上のメンターを務める。現在は「自己肯定感の重要性をすべての人に伝え、自立した生き方を推奨する」ことを掲げ、「肯定心理学協会」や 新しい生き方を探求する「輝塾」の運営のほか、広く中島流メンタル・メソッドを知ってもらうための「自己肯定感カウンセラー講座」「自己肯定感ノート講座」「自己肯定感コーチング講座」などを主催。著書に『自己肯定感の教科書』『自己肯定感ノート』(SBクリエイティブ)など多数。

 

【第一人者が解き明かす“自己肯定感”のビジネス学/中島輝~back number~】

【♯01】<前編> 自己肯定感から見る組織論「自己肯定感」は「心理的安全性」から生まれる

【♯02】<前編>やるべきは、自分自身の怒りのコントロール。チーム・組織における「怒りのトリセツ」

【♯03】<前編>スポーツが育んでくれる、ビジネスシーンで役立ついくつものマインド

【♯04】<前編>失敗を成功へと導く。リーダーに必要な「声かけ」のポイント

【♯05】<前編> やっぱりコミュニケーションがすべて。心理学から見る最強のチームワーク

【♯06】<前編>目に見えない敵「プレッシャー」の正体とプレッシャーに強い体質を手に入れる方法

記事に対するコメント

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。

関連記事