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【♯06】古野俊幸│育て上手になる<前編>

個々の性格診断から人間関係を科学的に分析し、最適な組織編成・開発に応用する『FFS理論』にて、数多の組織・人材の活性化を支援してきた古野俊幸氏。この理論をもとに人気漫画の登場人物を題材に解説した『ドラゴン桜とFFS理論が教えてくれる あなたが伸びる学び型』を上梓し、注目を集めている。企業だけでなくプロ、大学スポーツの組織編成も支援してきたエキスパートが、FFS理論をベースにスポーツから日常に応用できる自己分析、チーム編成の考え方を連載形式でお届けする。

思考の特性は「凝縮性」「受容性」「弁別性」「拡散性」「保全性」の5因子に分類されるFFS理論の概要はこちらの記事をチェック!

 

 

“拡散性”の新庄さんに火をつけた野村再生工場の動機付け

 2021年の野球界は「大谷翔平選手」一色でした。二刀流として大活躍。MVPも獲得しましたね。

 さて、「元祖二刀流」と言えば、BIGBOSSこと、新庄剛志さんです。

 野村克也さんが阪神の監督に就任した時、新庄さんは、私生活でのゴタゴタもあり、退団騒ぎを起こしていました。関西のスポーツ新聞には〝シーズンオフ〟のかっこうのネガティブネタだったのです。

 そこに野村監督が登場します。阪神で最初に取り組んだ仕事は、新庄さんの「野手と投手での二刀流」起用でした。関西のスポーツ新聞は一気に「新庄さん」にスポットライトを当てました。連日一面で扱ったのです。新庄さんは気分が良くなったのでしょう。「退団騒ぎ」などなかったかのように練習に取り組んだのです。

 新庄さんは、観察によると拡散性が高いように見えます。「誰もやらないこと」にワクワクするタイプです。しかも「目立つため」には、人知れず影練するようです。いかにも〝楽々出来ている〟ように振舞うのです。

 野村さんは、新庄さんの「ストレス状態でネガティブになっている」ことを見抜き、動機付けることを考えたのです。そのためには「二刀流なんて、お前しか出来ない」と煽てて、「オンリーワンでありたい」という拡散性の気持ちに火をつけました。結局、シーズンは野手だけでしたが、翌年以降の活躍の先鞭をつけたのです。なんと大リーグまで行ってしまいました。

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