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名波浩×吉田達磨×米澤一成│子どもの「個性」を育む方法とは?

サッカー日本代表の名波浩さんをホストに、さまざまな競技のトップアスリートを迎えて「スポーツが育むチカラ」を解き明かすこのコーナー。今回のゲストはJリーグで数々のチームの監督を務め、今年5月にシンガポール代表監督に就任した吉田達磨氏、2001年の創部から京都橘高校サッカー部を全国トップレベルの強豪校に押し上げた米澤一成氏を招いてお届けする。プロの指導者が考える育成論とは!?(※2020年11月に収録)

いろいろなスポーツに触れることが
サッカーを伸ばす鍵になる?

名波 本日のゲストは、現役時代に柏レイソルなどでJリーガーとしてプレーされ、現在はサッカー・シンガポール代表監督としてご活躍中の吉田達磨さん。そして、創部から京都橘高等学校の監督を務め、今冬に行われる全国高校サッカー選手権の出場権もしっかりと勝ち取った米澤一成さんです!

吉田 よろしくお願いします。

米澤 お願いします。

名波 まずお二人の幼少期の頃の話を聞きしたいのでが、吉田さんはどんなお子さんでしたか?

吉田 僕は名波さんほどの選手にはなれませんでしたが、サッカーが大好きでした。当時はクラブチームって関東でもそんなになかったのですが、読売クラブが大好きで、小6でクラブチームと出会ってサッカーばっかりやっていました。でも身体が小さくて、どうやって大きな人に勝ってやろうか、なんてことばかりを考えているような……、学校ではダメなやつでしたね(笑)。

名波 米澤さんはいかがですか。

米澤 色々なスポーツをやっていて、サッカーには4年生くらいからのめりこみ、ドッチボールがうまかったので、GKをやっていました。ただ、親を見たらわかるんですけど身長が小さかったので……。(大きくならないと)教えてくれたらGKなんてやらなかったんですけど、そのまま高校まで(GKを)続けました(苦笑)。大学からはフィールドプレーヤーに変わりましたけど。

名波 なるほど。今、米澤さんがいいことを言ってくれたので、吉田さんにも聞きたいです。いろいろな競技をやる方が子どもにはいいのか、それともサッカー一本でやっていくのがいいのか、どう思いますか?

吉田 僕は、いろんなスポーツをやって触れた方が、明らかにいいと思います。僕も野球をやっていましたが、身体を動かす軸になるものや、使う脳の部分も全然違います。それでも同じスポーツなので、違うように思えて、どこかが繋がってくるんですよ。

米澤 今の吉田さんの話を聞いて、野球って大事かなと思いました。今はフライが取れない子が結構多いんですよ。私は体育の教員なのでソフトボールの授業とかやるのですが、前に出てきて(選手同士が)かぶる、みたいなのがすごく多いんです。それはサッカー部でもいるんですよね。(ボールの)落下地点の予測はヘディングに繋がったりもしますしね。

 

認めることが個性を尊重することになる

名波 今日のテーマ「個性について」ですが、まず、「個性を出す必要があるのか、ないのか」ということについて、吉田さん、いかがですか。

吉田 これは結構深い話ですね。個性って「出せ」って言われても何を出していいのかわからないし、「出せ」って言われても困る話で。育成をしている時は、(個性が)「そもそもあるものだ」というふうに理解していました。元から備わっているもので、それが表に出ているのか出ていないのか、ということだけ。一人ひとりにはそれぞれ個性があって、それを出そうというよりは、グラウンドの中でもプロの選手として接し、それ以外ではたわいもない会話をする。そうやって彼らが「認められている」と思えるような環境を作ることが、自然と個性を尊重しているような形になるのではないかな、と思います。

米澤 個性って難しいんですけど、私はチームでの考え方として「組織の中で個を生かす」ということをよく言っています。チームのビジョンがあって、その中でいろいろな選手がチカラを発揮するということが個性に繋がっていくのかな、というふうに思っています。個人のストロングポイントを徹底して伸ばす、ということが自信にもつながりますし、個性を生かすために大切なことなのかな、と。

名波 僕は、どんなことでも個性だと思うんです。例えばシャイな子も個性ですし、それを指導者がどうやって生かしていくのか、ということが大切なんだと思います。でも親御さんたちの中には「この子は個性がないんです」という人が多くいらっしゃるんです。そういう場合に指導者としてどう接すればいいのかを聞きたいです。

吉田 例えば前に出ない子がいたら、無理やり前に出そうとするのではなく、とにかく待つことだと思います。あとは、褒めたり挑発したりしてくすぐってみるとか、そういうことなのかなと。

名波 米澤さんはどう思いますか?

米澤 いやあ、高校サッカーなんて、挑発が一番多いんじゃないですかね。

名波 個性を引き出すためにするべきこと、こういうことをしたら個性は伸びてくるんじゃないか、ということは何かありますか?

吉田 なんでこの子は遠慮してプレーしているのかな、とか。「出せていないストロングポイント」って本当にもったいないですよね。それが出てこないのであれば、得意なポイントに使い続ける。あとは、みんなの前で褒めて認めてあげて、自分に自信をもたせたり、周りに認めてもらうように働きかけることが大切かなと思います。

名波 なるほど。米澤さんはどうですか?

米澤 まあ、同じようなことですかね。ポジションを変えてみるということとか。例えば本人が思っている才能とこっちが思っている才能が違った場合に、ポジションを変えることで才能が出てくる、ということもありますね。例えば遠征でGKを別のポジションに使って、ビルドアップできるようにさせることで、才能が開花することもあるんです。

 

勘違いを正すことも大切
信用しているからこそ伝えたいこと

名波 では、コンバ―トをしたけれどうまくいかなかった、そういう時に選手とどういったコミュニケーションをとりますか?

吉田 これは結構難しいですけど……僕は言っちゃいますね。「こっちの方が良かったとも思ってやったけれど、ダメだった、ごめん……」みたいなことは、すぐに言います。すぐにやらないと、どんどん溜まっていっちゃいますし。

米澤 同じですね。「違ったな」って、言います。

名波 まあ……そこをしっかりジャッジしてあげないと、子どもはメンタルにきちゃいますからね。完全に胸のうちに不満を膨らませて、最悪それでそのスポーツを嫌いになっちゃったりしたら。個性を出させようとしたことが裏目に出てしまいますから。個性って、引き出そうとすればするほど、メンタルケアがおろそかになりがちですよね。そのあたりは吉田さん、どのようにメンタルの上げ下げをしていますか?

吉田 「そうでもないのに、いわゆる調子に乗っちゃう子」と、「すごくできるのに、ダメだと思い込んじゃう子」、この2パターンの子がいるんですよね。調子に乗っている子に対しては、「だからなんだ」「で?」みたいな空気で接します。そうじゃない子に関しては、「大丈夫、大丈夫」って言い続ける感じですね。

米澤 同じような感じだと思いますよ。「この選手はちょっと(状態が)悪くても使い続けてあげたほうがいいかな」という選手は使い続けますし、「こいつはちょっと勘違いしているな」というような子だったら、外したほうがいいわけです。そんなことをしながら、「信用している」ということを分からせた上で公式戦に臨まないと。選手が自信を持たないまま(試合に)出ても仕方ないので。そういう時は、最後のところでコントロールするようにはしています。

名波 監督発信、指導者発信というところで、選手が自分の個性に気づくということがあると思うんです。選手自身が自分の個性に気づくタイミングというのは、高校生の指導者としてわかりますか。

米澤 わかりますね。「これで自分は生きていく」ということを感じているな、というのはあります。

名波 どういう時に感じますか?

米澤 試合の中でももちろんそうなんですけど、僕は教官室からグラウンドが見えるんです。だから自主練している時に、「ああ、この子、始まったな」というように、ずっとヘディングをし始めたり、GK陣でもシュートブロックからキックに変えたりしていることがあるんです。そうすると、「ここで勝負しようとしているな」ということを、練習を見ていて感じます。

吉田 試合中や練習中に「ボールを欲しがるようになる」というのが、分かりやすい行動に表れることはありますね。

名波 「気づき」ということでいうと、吉田さんが言っていた「勘違い」ということにつながると思うんです。中でも「良い勘違い」と「悪い勘違い」があるわけですよね。指導者はもちろんこういう部分に気づくわけですが、どうやって(勘違いした)鼻を折ったり、どうやって励ましたりしますか?

吉田 選手って基本的に「自分を認めてほしい」というのが大前提なんですよ。調子に乗っているな、という選手には「できるよね?」「大丈夫じゃない? お前なら」というようなことを言います。その方が、多分嬉しいと思うんです。逆に、自信をなくしているような子には、得意なことに徹底的にトライさせます。あとは「大丈夫だよ」「なんでそんなこと思っているの?」「俺の目が間違っていなければ、十分できているよ」というような話をします。

 

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