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ONLINE SEMINAR

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加見成司x小野貴裕x萬場努x宮本文博│サッカーで紡がれる「人間力」 。未来のためにできること。

新型コロナ感染拡大の影響により、サッカーの大会や活動の休止が相次ぐ中、進路を控えた中学3年生は深刻な問題を抱えている。そんな子どもたちと高校とをつなぐきっかけとして、進路案内をテーマとしたオンラインイベントを実施。全国の高校サッカー部4チームの監督がオンラインで一堂に会し、パネルディスカッション形式にて説明会を行った。各監督ともに指導方法こそ異なるが、その根底に共通するのはサッカーを通した人間形成の育成。サッカー選手としてだけでなく、1人の人間として、監督らの真摯な「教育」への思いがそこにある。(2020年6月に収録)

「考えるチカラ」、「選ぶチカラ」が伸びる鍵となる

──365日、勉強に指導に大変お忙しいと思いますが、本日はお集まりいただきどうもありがとうございます。まず、先生方には「高校サッカーで求められるものは何か」からお伺いしたいと思います。

宮本 中学から高校で一番変わるのがタフさ、力強さだと思います。メンタリティーもそうですし、フィジカルもそう。ウチの学校では、サッカー中心の生活でプログラムされているので、寮生活、学校生活の中でタフさを身につけ、サッカーに生かせるように指導しています。

萬場 義務教育から高等学校に進学することで、社会的な意味合いも変わってくると思っています。自立して大人に近づいていくことが大きいと思っています。高校年代でプロで活躍する選手も出てきますからね。高校では今の自分の立ち位置を、より意識する必要があると思います。

小野 私も御三方と同じで、人間的な部分が非常に大きいかと思います。正しいと本人たちが望んでいるものが、高校年代では必ずしもイコールにならなくなります。言われたことをやった方がいいとわかっていても、素直に向き合えない。そして試合でやりたいことと、チームの中で求められるものとに矛盾が出てきます。そこで必要になるのは、シンプルに言うと「選ぶチカラ」。それができないと、どんなスタイルのサッカーでも満足にプレーできないと思います。私は「選べる選手」を高校年代で育成していきたいと思っています。

加見 高校年代は大学、社会に出るための通過点です。サッカーもそうですが、人としても大きくなってほしいと思い、日々指導させていただいています。中学時代に培ったそれぞれの特徴があるでしょうから、それをどれだけ表現できるようになるかが大事だと思います。

 

──中学の3年間で、「ここを鍛えて来てほしい」などの基準はありますか?

加見 ボールを自由に扱える個人技術も大事ですけど、それ以上に重要なのが、普段の生活で身に付く「考えるチカラ」です。中学生の頃から考えるチカラを養っておくと、高校でも問題解決する能力が身につきやすく、グラウンドで使う機会もたくさんでてきます。そういった子が高校でも伸びますね。

宮本 そうですよね。サッカーの部分より、基本的な生活習慣。例えば早寝早起き挨拶、そう言う部分が自立につながるのかと思います。スポーツに特化するのはいいことですが、人間的な土台があって、その上にサッカーがある。経験として、いくら本気でサッカーだけをやっていても伸びない印象がありますね。

萬場 加見先生と宮本先生が人間性の部分をクローズアップしてくれたので、あえて私はプレーヤーとしての部分で言わせていただくと、個性、ストロングポイントなど、特徴のある選手が魅力的だと思っています。誰にも真似できない特技を磨き、それを武器にできているのか。近年は全国大会でその必要性を強く感じます。ウチはチームの特徴として、球際の強さを心掛けていているので、その中で個性を伸ばして行ってほしいと思います。

小野 我々が中学生をスカウティングするとき、個人的なリズム、テンポを見るように心がけています。ゲームで活躍する、しないに関わらず、中学生が普段のテンポ以上のものを発揮するのは難しいと思いますので。例えばプレーが上手くいっていないとき、それが周りとのコミュニケーションの問題なのか、そもそも自分の中で上手くいっていないのか、その見極めはしっかりとできるようにしています。高校に入ればチームも変わるわけですからね。

 

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