/interview/40586/

ONLINE SEMINAR

ONLINE SEMINAR

江本孝×大槻邦雄×内野雄介 │「チームマネジメントの効率化」 supported by BAND

指導者にとって効率的なコミュニケーションをとることが指導・教育の現場の課題となっている。人数の多いチームはもちろん、多数のカテゴリーに分かれて活動するサッカーチームにとって、効率的な情報共有は欠かせない。監督・コーチの考えの伝え方、スケジュール管理と保護者のコミュニケーション、トレーニング・試合の映像共有など……、多数のカテゴリーに渡って指導する御三方に、チームマネジメントの取り組み、モバイルアプリのツールなどによる改善方法について伺った。

 

高川学園高校サッカー部「部署制度」で育むコミュニケーション力

──今日は「チームマネジメントの効率化」ということで、各年代を指導されてきた御三方にご登壇いただきます。まず江本監督にお聞きいたします。一昨年度の全国高校サッカー選手権でベスト4進出の旋風を巻き起こした高川学園高校サッカー部ですが、その中でも「部署制度」の取り組みが大きな注目を集めましたね。

 

江本 山口県の高川学園サッカー部では2017年からこの取り組みをしております。部員が160名~170名の大所帯ですから、全部員をいかにマネージメントしていくかが、指導者としてすごく大切だと思っています。なかなか試合に出られない子もいる中で、約1000日もの高校生活をいかに充実したものとするのか。そこでサッカーとは別に、一人ひとりに役割を担ってもらうようにしています。部署はグラウンド部(考動力)、分析部(洞察力)、強化部(指導力)、企画部(発想力)、広報部(伝達力)、農業部(愛情力)、生活部(人間力)、おもてなし部(対応力)、用具部(管理力)、審判部(競技力)、総務部(統括力)の全11部署にて展開しています。部員一人ひとりがやりがいを見つけ、自律心の成長を図るとともに、高川学園サッカー部をより魅力のあるチームにしていくことを掲げて活動しています。

 

──部署活動の内容について教えていただけますか?

 

江本 総務部(統括力)は全部署を円滑に進めるために、総合的に活動内容を把握、管理しています。

審判部(競技力)は審判をすることで、普段どのように試合をサポートしてもらっているかを知る経験をしています。

用具部(管理力)では物を大切にする心を養います。

おもてなし部(対応力)は色んな方がサッカー部にいらっしゃる中で、その方たちが気持ち良い時間を過ごせるように心掛け、気遣いができる人間になることを目的にやっています。

生活部(人間力)は学校生活をみんなが気持ちよく送れるように、当たり前のことが当たり前にできるようにする活動です。

農業部(愛情力)は、学校周辺にある農家の方にご協力をいただき、本校では畑で野菜を育て、地域の方との交流を図っています。

広報部(伝達力)は、自分たちの活動をより多くの方に知ってもらうためにSNSや月刊新聞などを発行し、皆さまから応援されるチームになるための活動をしています。

企画部(発想力)では独自のリーグ構想など、自分たちがやりがいのある部活動ができるように、さまざまな企画を考案し実行することを考えています。

強化部(指導力)は、毎週の試合の反省点を自分達で考え、トレーニングメニューを考案していく部署です。

分析部(洞察力)は毎試合の映像から自チーム、他チームを分析し、課題を抽出して戦術理解を深める活動をしています。最近では日頃のトレーニングを撮影し、指導者のコメントを切り抜いて要約し、選手に共有することを行っています。これはプロでもやっていないのではないでしょうか。

最後にグラウンド部(考動力)は、与えられた環境をより長く使い続けられるよう管理をし、ケガをしない安全作りを心がけて活動しています。

基本的に子ども達が率先して活動していますが、選手に任せるだけでなく、我々指導者も部署の活動に参加して気になるところは声掛けをしております。

 

 

大槻 すごく面白い取り組みですよね。僕はずいぶん前に江本先生からこの活動のことをお聞きしていて、部員1人ひとりがやりがいを持てる活動ということで、すごく興味がありました。選手、部署が拡大していく中で、各部署がその活動だけで完結してしまうようなことは起こりませんでしたか?

江本 おっしゃる通り、役割を持たせることで、自分はこれだけをしておけばOKだと考える選手もでてきます。部署活動とは本来協力し合うことを目的としています。ですから、最近では部署のリーダーが集まって連携を取ることにしています。例えば、分析部で解析したデータを、自分たちの技術レベル向上にいかに繋いでいくかを強化部とリンクしコミュニケーションを取りながらやっています。

大槻 お互いの活動が見えることが重要ですよね。農業部で栽培した野菜は販売されているのですか?

江本 はい、学校近くにある道の駅で安い金額で販売しています。あとは学校の近所の方に配ったり、食堂に渡して調理してもらっています。
大槻 一石二鳥どころではないですね。地域貢献にもなるし、部署活動を通してまさに愛されるチームになっていきますね。素晴らしいです。

──一つひとつの部署は学生から考案されたものだそうですね。途中でなくなった部署などもあったのでしょうか?

江本 最初は全12部署で掃除部という部がありました。ただ、1年間活動してみて、みんなで話し合った結果廃止することにしました。そもそも目配り、気配りをスローガンとしてやっているチームですから、それこそ一人ひとりが気づいていればゴミそのものが落ちないわけです。

──たしかにそうですね。部署活動の成果が近年のサッカーでの好成績にも表れているように思いますがいかがでしょうか?

江本 はい、私としても影響があると確信しています。特に選手のコミュニケーション能力が上がっていることがその要因だと思います。今日も取材に来ていただいたメディアの方から「選手とのコミュニケーションが取りやすかった」とお話をいただきました。

大槻 選手たちが見方、角度を変えてサッカーを見れているのでしょうね。人間性を育むには、技術戦術だけに偏りすぎず、やはり角度変えてアプローチするのが大事だと僕も考えているので、すごく参考になります。

 

小学・中学で異なる選手・保護者へのアプローチ

──大槻さん、内藤さんは中学校年代(3種)、小学校年代(4種)も指導されていらっしゃいますが、選手にどんなアプローチをされていますか?

 

大槻 中学年代では中2と中3とで精神的年齢も違うので、指導者から話す内容も大きく異なります。また中1の頃は親に話していた子も、中2になると急にしゃべらなくなるとよく聞きます。

 

内野 僕の息子がちょうど中2なんですよ。だから大変です(笑)。中学生って本当に学年ごとに関わり方も変わるし、 伝え方も変わってくる。小学生とはまた違う難しさがあると思います。

 

大槻 保護者とのコミュニケーションも悩むことは結構ありますよね。例えば、 子どもが言っていることをどこまで保護者に伝えるべきなのか。やっぱり保護者の方にも知っておいてほしいことだってあるし、そういうところに指導者をやっている方は神経を使っていると思います。中学年代では本人に壁を乗り越えさせて、立ち向かう勇気を与えてあげたいと思いますが、小学生になると保護者の影響が強いので、なかなかそこまで言うこともできないですよね。

 

内野 中学生と違って小学生の年代は保護者との関わりが欠かせません。そこはチームでいろんな線引きをされていると思いますが、各チーム悩んでいるところかと思います。

 

大槻 一方通行でもダメですし、そこは難しいですよね。

 

デジタルツールを活用する時代。そしてSNS利用の注意喚起

 

──いまは中学生も一人一台のスマホを持つ時代になってきています。みなさんはデジタルを使ったコミュニケーションをどのようにされていますか?

江本 うちではLINEで情報共有をしています。我々スタッフと部署リーダーのグループラインがあって、部署活動においてその日に行った活動を報告します。それに対して我々スタッフが感じたことをリプライしたら、それをリーダーが各部署の子たちに伝えていく流れです。分析部が編集した映像もLINEを使って共有していますが、動画は5分までと制限があるのでコンパクトにまとめてから流しています。

 

 

──高校ではSNSの注意喚起などはされているのですか?

 

江本  まずはスマホを契約される保護者の方にしっかりとお子さんに教育いただきたいです。その上で、我々はオープンにSNSを活用するようにしています。部署活動としてコミュニケーションを円滑に行うために、デジタルツールは積極的に活用する。ただし、問題が起きた場合は、全体ミーティングを行い使い方を是正していくよう努めています。

 

大槻 デジタルツールがここまで普及している世の中ですから、そこは避けては通れないですよね。急な予定の変更もすぐ伝わるし、タイムリーに情報を発信できるのはすごく便利です。ただし、使い方を誤ってはいけないし、ちゃんと教育してあげることも大事だと思います。Jリーグの新人研修でもSNSの危険性を選手に伝えていますし。

 

──FCトッカーノではいかがですか?

 

内野 FCトッカ―ノでは週、月のスケジュールを一斉メールで学年ごとに保護者に配信する形をとっています。ただし、タイムスケジュールはすべて保護者が管理するのでなく、子ども自身が各々のスケジュールをしっかり管理できるようにコミュニケーションを取るようにしています。練習を休む際の連絡も保護者からメールで連絡がきますが、必ず選手からコーチに直接伝えることをチームとしてやっています。保護者の方の中ではBANDを使用して、試合映像を共有しているようですね。若手のスタッフなどは、一緒に映像を確認しているようです。

 

 

メンバーの権限を設定して理想的なチーム運営・管理が可能に

──保護者がBANDを使っているとのことですが、内野さんご自身は利用されないのですか?

 

内野 私は中学校年代の監督という立場から、距離感を保つことも一つのコミュニケーションだと思っています。ただ、手軽に情報を交換できることは素晴らしいことだと思うので、役割をもってやっていければと思っています。

 

──なるほど。ちなみにBANDでは管理者がユーザーに権限を付与し管理することもできるそうです。だから同じグループであっても、特定のユーザー間のコミュニケーションを制限することが可能なんです。

 

内野 それは便利ですね。全員が共有できるものと、コーチと選手、保護者とコーチ、コーチ間のみ等と情報を管理できれば、いろいろな問題が解決できるかもしれません。権限を考えながらも保護者とのコミュニケーションに、自分が参加することも必要なのかと感じています。

 

大槻 私も事前にBANDの機能を調べてみたのですが、カレンダーに表示されたスケジュールを見る人と見られない人で権限を分けることもできるそうです。コーチ間だけのスケジュール管理もできますし、OB会などにも相性がよさそうですね。

 

リーグ・大会運営を担うサッカー関係者間のコミュニケーション

 

──大槻さんと内野さんは東京都のリーグ戦(通称:Tリーグ)の立ち上げに関わられたそうですが、運営面もふくめて何が大変でしたか?

 

大槻 そうですね。すべてが大変でしたが(笑)、運営を通して指導者はオープンマインドじゃないとダメだと思いました。相手の気持ちを思いやり、相手のチームに興味をもって接することが大事。それを徹底することで、試合の後は相手チームの子どもと仲良くなっていましたからね。

 

内野 もう対戦相手の選手の名前も当たり前のように憶えていましたね(笑)。

 

大槻 東京のリーグは最初にそういう文化をつくった自負があります。だから今もすごくいい雰囲気でやれています。

 

内野 もちろん試合では色んなことがありますが、根底には子ども達を育てるという目的があるから、考えに共鳴してくれた指導者たちの大きな枠が、今の大きな流れをつくっているのだと思います。

 

大槻 リーグの立ち上げは10年以上も前の話しですが、BANDのようなツールがあればリーグ運営としても付加価値になるのではないでしょうか。動画の配信、権限の管理をした上での書類のアーカイブ等、いろんなことがスマホ一つで完結できる。試合の結果の連絡もすぐにできますし、運営はすごく効率的になりますよね。

 

──BANDではリーグや大会の協賛依頼も受け付けています。大会の大小を問わらず幅広く受け付けておりますので、チーム関係者の方は専用フォームからぜひご連絡ください。それでは最後にお三方から一言ずついただけますでしょうか?

 

江本  本日は貴重な機会をありがとうございました。私が知らないことも本日は学べましたので、選手のために何ができるのか、新しいものを取り入れながら、取り巻く環境をより良いものにしていきたいと思います。

 

内野 江本さんがおっしゃられたように、選手、チームの保護者にとってプラスになることには積極的に取り入れていきたいと考えています。本日はありがとうございました。

 

大槻 普段は外のチームの取り組みについてお聞きする機会もないので、大変貴重な話を聞かせていただきました。コミュニケーションは何より思いやりが大事だと思っています。相手がどうしてほしいのか、そういう想像力を働かせ、お互いが気遣えばコミュニケーションはスムーズに運ぶと思います。ただ、どうしてもコミュニケーションが上手く続かない場合は、現代にはBANDのようなグループコミュニケーションツールを活用する手段もあります。オンラインミーティングなど便利な時代になりましたけど、やっぱり顔を見て目を見て話をすることは本当に大事です。サッカーだけの話ではないと思いますが、本日は改めてそれを感じました。ありがとうございました。

 

 

チームマネジメントを効率化するための手段

上記のセミナーでも言及されましたが、現代には多くのスポーツチームでチームマネジメントの効率化の手段をとしてグループコミュニケーションツールを活用しています。

最近では様々なデジタルツールがありますが、その中でもグループコミュニケーションに特化されたアプリ「BAND」についてご紹介します。

「BAND」は、グループコミュニケーションを効率化させる無料アプリです。連絡事項、スケジュールの共有や出欠管理はもちろん、映像のライブ配信など様々な機能を活用することで、チーム運営の手間を大幅に省いて効率的なチームマネジメントを行えます。さらに情報保護に関する国際認証を取得しているので、気になるセキュリティに関しても問題なく利用できます。

 

 

チーム内の連絡を何度も繰り替していませんか!?

 

「BAND」では掲示板にお知らせを登録すると、グループ全員に一度で伝えられるのはもちろん、誰が読んだかも既読確認できます。出欠確認もワンタッチ回答で、一目で状況を確認でき、カレンダーにまとめて一括管理が可能です。位置情報による練習場所の入力もできるので、伝達ミスの防止にもつながります。忙しい保護者が多い中、事前の通知設定もできるので、確認漏れを防ぎ、参加率の向上も見込めます。

 

「写真ください!」試合写真提供の個別対応からの解放

 

試合やイベントの時撮影した写真や動画を一緒にアップロードができアルバムで簡単に共有ができます。また、最大100枚もの写真を同時にアップできます。大容量になると有料のサーバーを使用する必要がありますが、「BAND」は無料で利用でき、保存期間も無期限。新しくチームに加入した子どもの保護者も過去の写真を見て、「チームがどういうサッカーをしているのか」などを理解できるもの大きいですね。

 

試合を見に来れない保護者にはライブ配信でお届け!

 

忙しくて試合に足を運べない保護者、さらに最近は試合会場の入場が制限されることもある中、スマホで撮影された試合映像をLIVEでどこからでも視聴できます。もちろん映像は保存できるので、振り返りのコーチングにもつながります。本日のセミナーでも話題に挙がりましたが、指導現場の時間は限られている中、オフ・ザ・ピッチで効率的なコミュニケーションの場を育むツールにもなると言えるでしょう。興味のある方はぜひ活用してみてください。

 

BANDの公式サイトはこちら

 

PROFILE

江本 孝(高川学園高校サッカー部監督)

1984年6月22日、山口県生まれ。多々良学園高等学校(現・高川学園高等学校)、福岡大学を卒業後、2007年から福岡大学サッカー部でコーチを務める。2009年高川学園中学校サッカー部監督に就任、2013年より現職。

大槻邦雄(プロサッカーコーチ)
1979年4月29日、東京都出身。三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

内野雄介(FCトッカーノU-12監督)
武南高校を卒業後、静岡FC(藤枝MYFCの母体となったクラブ)、ジャウー(ブラジル)でプレー。現在は指導者として、U-6(未就学児)からU-15(中学3年生)までの11カテゴリーの中で、一貫した指導体制を敷き、選手の指導と育成にあたっているFCトッカーノU-12の監督を務める。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。

RECOMMEND