COLUMN

【スポーツと自己分析が教えてくれる あなたをアップデートする方法 古野俊幸 ♯01】
バドミントン元日本代表 潮田玲子さんが教えてくれた
「弱みを受け入れる」ということ
-後編―

個々の性格診断から人間関係を科学的に分析し、最適な組織編成・開発に応用する『FFS理論』にて、数多の組織・人材の活性化を支援してきた古野俊幸氏。この理論をベースに人気漫画の登場人物を題材に解説した「宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み」に続き、4月には「勉強の型」を指南する『ドラゴン桜とFFS理論が教えてくれる あなたが伸びる学び型』を上梓した。企業だけでなくプロ、大学スポーツの組織編成も支援してきたエキスパートが、FFS理論をベースにスポーツから日常に応用できる自己分析、チーム編成の考え方を連載形式でお届けする。

 

#01 前編はコチラ >

 

互いの強みを引き出した「オグシオ」ペア

 

 潮田さんはご存じの通りに小椋久美子さんとのダブルスペア『オグシオ』として話題となり、北京五輪でメダルが期待されていました。結果は残念ながら5位チームでした。

私はチームの専門家と自負していますので、二人の関係性が気になります。そこでどんな関係だったかを深堀してみました。

 

――お二人の関係をネット等で調べたら、『異質で補完』という印象を持ちましたが、実際はどうでしたか?

潮田さん 「小椋さんはきちきちとする人で、私は大雑把」という印象を持たれているみたいですが、それはポジションや役割的なことからの印象だと思います。実業団の時代から365日中360日近く一緒に居ます。家族よりも過ごす時間は長いのです。性格的に違うなとはあまり感じていませんでした。その上、例えばインタビュー等で話をしているのを聞いて『同じことを考えていた。共感しているなぁ』と思っていましたね。

 

――相性の良いダブルスだったと思いますが、どうように形成されたのですか?

潮田さん 高校性時代はシングルスプレーヤーだったのですが、全日本の合宿で小椋さんとダブルスを組んで先輩と試合したら勝っちゃった。私は意外に「ゲームメイクが向くんだ」と初めて実感したのです。おそらく、シングルスだとオリンピックに出られていないと思います。だからダブルスで小椋さんと組んだことで、〝私の強み〟が引き出されたのだと思います。

 

――つまり、二人が組むことで、相乗効果(シナジー)が発揮されたのです。これこそがチームの魅力なんですね。

 女子ダブルスは、世界で活躍していますが、リオ五輪で金メダルを取られた『タカマツ』(高橋礼華・松友美佐紀)ペアはどんな関係でしたか?

潮田さん あの二人はまさに『異質』でした。高校の先輩後輩の関係ですが、最初に監督が二人を組ませた時に、誰もが「エッ。合うのなかぁ」となったと聞いています。それくらい意外だったのです。前衛・後衛の役割も明確でした。一般的には女子のペアなんていつも一緒にいたりするんですが、あの二人は、バドミントン以外は全く介入せず別々の行動をしています。練習や試合だけで合わす。プロフェッショナルを感じます。

 

――それこそ、我々の言う〝異質・補完〟の典型のようですね。リオでは、その関係性が最高に機能したんでしょうね?

潮田さん 私もそう思います。

 

コロナ禍のストレス状態を生き抜く術とは?

 

――今、コロナ禍で行動が制限されていて、とてもストレスフルな環境になったと思いますが、潮田さんは、ストレスに関しては、どんな対処法を心掛けていますか?

潮田さん これは現役の時、怪我をして、数か月練習ができなかった時にメンタルコーチにアドバイスされたことです。「物事を捉える時に違う角度から捉えてみる」ということです。言い換えると「できないことを嘆くよりも、できることをやろう」です。だから、怪我していなかった部位を鍛えた。戻った時に前より強くなっていたのです。

 

――我々が定義している「ストレス」は、体調に表れてきます。ストレッサー(ディストレスになる刺激)が3か月程度連続的にさらされていると、「食欲がない」「眠れない」「下痢や便秘」等々の不調に繋がるのです。

 

潮田さん あっ、今思い出しました。北京五輪を前にして海外遠征が続いていた頃ですが、眠れなかったです。お医者さんに睡眠誘導の薬をもらったほどです。ストレス感じていたんだ…(笑)。やはり、重圧を感じていたんですね。今は、その重圧から開放されています(笑)。

 

――最近はストレスを感じていないようですね。ビジネスマンに方々に参考になるコメトンがあれば、お願いします。

潮田さん 私も多くの仕事がリモートになりました。時間ができたので料理を丁寧に作ることに取り組んでいます。そうすると、料理が上手くなるし、家族も喜んでくれます。先ほど話をしたことと同じですが、「見方を変える」だけということです。特別なことをしてはいないのです。

つまり、仕事も同じで、待っているものじゃなくて、自分で動いて作るものものだと思っています。

 

――これは、ビジネスマンにピッタリな素晴らしいメッセージです。ありがとうございました。

 

 五輪でメダルを期待されていた潮田さんですが、「日の丸を背負う重圧」は生半可なものではなかったと推察します。

 その経験を経て、自分の強みも弱みも受け入れて、さらに環境変化も所与のことと受け入れ、無理せず〝自然体〟で生きている印象を受けました。やはり『自己理解が出来ている人』は強いなという印象でした。

皆さんもまずは、「自己理解」を通じて、他者を理解し、チームや仲間との協働を意識してみましょう。

 

―♯02につづく―

 

PROFILE

古野 俊幸(ふるの としゆき) | 株式会社ヒューマンロジック研究所代表取締役
新聞社、フリージャーナリスト、出版社を経て、1994年にFFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のための会社を設立して、現在に至る。現在まで約800社以上の組織・人材の活性化支援。チームの分析と編成に携わった実績は60万人、約6万チームを数える。チームビルディング、チーム編成の第一人者。スポーツの造詣が深く、筑波大学アメリカンフットボールの組織コーチ(2002年~09年)、玉川大学男子バスケットボール部、湘南エアロビクスチーム、BJリーグ 仙台89ズ、ソニー 女子グランドホッケー部(2015年)ソニー 女子ハンドボール部(19年)、明治大学ラグビー部、東京経済大学駅伝部(19年)東京ガス 硬式野球部(20年)など数多くのチーム分析を務めた。
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