COLUMN

【♯02】中島輝│ やるべきは、自分自身の怒りのコントロール。
チーム・組織における「怒りのトリセツ」-後編-

自身の引きこもり経験克服を機に独自のコーチングメソッドを開発し、多数の企業経営者、アスリートなどのカウンセリングを務める中島輝氏。ベストセラー『自己肯定感の教科書』の著者であり、自己肯定感の第一人者として注目を集める人気カウンセラーが、社会で生き抜くために必要な実践的な技術を連載形式でお届けする。

写真/川しまゆうこ 

 

02前編はコチラ>

 

愚痴をいい合う飲み会も、怒りを鎮めるために有効

 ここまでの内容を見れば、チーム・組織内における怒りの感情はできるだけ減らしたいですよね。でも、これはなかなか難しい。他人の怒りをコントロールすることはまずできないと考えてもらっていいでしょう。

ですから、実際にできることを考えましょう。まずなにより自分自身がムダで過剰な怒りを持つことがないように心がけることです。なぜなら、あなた自身も、チーム・組織内の怒りを増やすことになってしまう可能性があるからです。

 自分がムダで過剰な怒りを持たないためには、先に紹介したメタ認知能力を高めることの他、チーム・組織であればときに愚痴をいい合うようなことも大切です。上司に対する怒りがたまっているなら、同じような感情を抱いている同僚や後輩を誘って飲みに行ってもいいと思います。コロナ禍のいまは難しいでしょうけれど、オンライン飲み会ならできますよね。

 そうした行為により、「心理的安全性」が確保されます。心理的安全性とは、チームや組織において「組織に属する人間が安心して自由に自己表現や自己主張ができる環境が担保されている状態」を指します。その心理的安全性が確保された組織では、怒りが軽減されるのです。

 チーム・組織のなかに気軽に飲みに誘える相手がいないということであれば、もちろん別のことでも構いません。野球が好きな人なら野球観戦をしてもいいし、休日に競馬を楽しむといったことでもいい。

 先に触れた、「頭が疲れていると感じたら、脳の栄養になるブドウ糖を摂取するために甘いものを口にする」ことにも通じますが、これは「If-then(イフゼン)プランニング」と呼ばれる手法です。

 If-then(イフゼン)プランニングとは、「○○したら、△△する」というふうに、条件づけによって習慣化を促す手法でもありますが、怒りのコントロールにも有効です。「怒りを感じたら、野球観戦をする」、そして「野球観戦をしたら、怒りが鎮まる」というふうに、いわば自己暗示をかけるわけです。これは、チーム・組織における心理的安全性を確保するものではありませんが、チーム・組織内の怒りを増やさないため、個人でできることです。

 

上司の怒りは点数別に対処法を用意しておく

 ここまで、自分自身の怒りに対処する方法をお伝えしてきました。でも、チーム・組織においては上司など目上の他人から怒りをぶつけられることもあります。そんなときは、「エモーショナル・スケーリング」という手法を使ってみてください。

 エモーショナル・スケーリングとは、その言葉どおり、相手の怒りの感情をものさしで測るように採点する手法です。そして、その点数に応じて対処法を用意しておくのです。たとえば、上司の怒りが激しく爆発していて、「これは5点満点で5点だな」と思ったら、いい意味で放っておく。怒りを完全に吐き出させてしまうというわけです。

 また、12点くらいの怒りだと思ったら、上司の承認欲求を満たしてあげるのも手です。怒りのもととなる一次感情はさまざまですが、立場が上の人間の一次感情の多くは「抑圧」や「プレッシャー」です。その理由は、成果を求められる立場だからです。その結果、「他人に認められたい」という承認欲求が高まっているケースが多いのです。

 たとえば、自分の仕事ぶりに対して注意するといった程度の軽い怒りだと感じたなら、「ご指摘いただき、ありがとうございます」というふうに承認欲求を満たしてあげましょう。もちろん、対処法は人それぞれですから、上司や先輩などそれぞれに効果的な対処法を探っていく必要があります。

 ただ、先にもお伝えしたように、他人の怒りをコントロールすることは本当に難しいことです。あくまでも、自分に降りかかる怒りを少しでも減らすための手法だと考え、自分が自分の怒りに振りまわされないようにすることを第一に考えてください。

 

03に続くー

PROFILE

中島輝(なかしま てる) | 「トリエ」代表 /「肯定心理学協会」代表
心理学、脳科学、NLPなどの手法を用い、独自のコーチングメソッドを開発。Jリーガー、上場企業の経営者など1万5000名以上のメンターを務める。現在は「自己肯定感の重要性をすべての人に伝え、自立した生き方を推奨する」ことを掲げ、「肯定心理学協会」や 新しい生き方を探求する「輝塾」の運営のほか、広く中島流メンタル・メソッドを知ってもらうための「自己肯定感カウンセラー講座」「自己肯定感ノート講座」「自己肯定感コーチング講座」などを主催。著書に『自己肯定感の教科書』『自己肯定感ノート』(SBクリエイティブ)など多数。

 

【第一人者が解き明かす“自己肯定感”のビジネス学/中島輝~back number~】

【♯01】<前編> 自己肯定感から見る組織論「自己肯定感」は「心理的安全性」から生まれる

【♯02】<前編>やるべきは、自分自身の怒りのコントロール。チーム・組織における「怒りのトリセツ」

【♯03】<前編>スポーツが育んでくれる、ビジネスシーンで役立ついくつものマインド

【♯04】<前編>失敗を成功へと導く。リーダーに必要な「声かけ」のポイント

【♯05】<前編> やっぱりコミュニケーションがすべて。心理学から見る最強のチームワーク

【♯06】<前編>目に見えない敵「プレッシャー」の正体とプレッシャーに強い体質を手に入れる方法

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