COLUMN

【♯03】古野俊幸│バスケに見るチームの関係性とデータ活用<後編>

個々の性格診断から人間関係を科学的に分析し、最適な組織編成・開発に応用する『FFS理論』にて、数多の組織・人材の活性化を支援してきた古野俊幸氏。この理論をもとに人気漫画の登場人物を題材に解説した『ドラゴン桜とFFS理論が教えてくれる あなたが伸びる学び型』を上梓し、注目を集めている。企業だけでなくプロ、大学スポーツの組織編成も支援してきたエキスパートが、FFS理論をベースにスポーツから日常に応用できる自己分析、チーム編成の考え方を連載形式でお届けする。

 

>#03前編はコチラ

 

個性が似ている選手の交代だと関係性を維持できる

 別のケースを紹介します。

 こちらはT大学男子バスケットのチームで、選手交代とゲームの動きの分析をしました。前述と同じアプローチです。しかし、学生チームで選手層も十分ではなくスタメンから変える選手は限られていました。そこで、監督に選手を変えるポイントを確認すると「流れを変えるための選手交代と休息を取らせるための選手交代がある」ということでした。そのため、分析の目的を「選手交代の意図がデータで検証できるか」でした。

 秋のシーズンの全試合を分析すると、監督が言う「流れを変える」時に出る選手と「休息」の時に出る選手が明らかになりました。それは、その選手交代が監督のほぼ意図通りに機能していたからです。

 関係性の分析でも、流れを変える選手が入ると関係性は少し変化し、5人のチームカルチャーはより攻撃的になり、休息の場合は、選手が入れ替わったにも関わらず、関係性にはほとんど影響がなかったのです。これは休息のために「抜ける選手」と「入る選手」の個性が似ている場合に「関係性が変化しない」ことがあるのです。

 

口頭指示よりも伝わる? データが示す選手交代の意図

 さて、1試合だけ〝説明がつかない”選手交代があったのです。

 監督にそのことを報告すると、少し考えた末「確かに、おかしい。あれっ。この日は俺は所用があり、コーチに任せた試合だ」と。すかさず「なるほど。コーチには、日頃から選手の起用法を伝えていたつもりだけど、このデータを見る限り伝わっていなかったんですね」と続け、「このデータは、コーチを育てるための有効なデータになるね」と喜んでくれました。

 スポーツは一人ひとりの能力、技量が問われるのは当然ですし、チームスポーツになると、プラスして「チームワーク」が求められます。

 では「チームワーク」とは何でしょう。広辞苑によると『チームの共同動作。一団の人々の連帯』とあります。まあ平たく言えば「チームが一丸となって目的を共有し、お互いが仲間のために共同し、連携すること」でしょう。

 但し、我々は“それだけでは不足している”と考えています。「メンバー同士の関係性」つまり『相性にも着目すべき』だと。

チームワークは個の足し算だけでなく、個々の相性や関係性にも注目する必要がある/Getty Images

 

スポーツにはまだ及ばないビジネスのチーム分析

 ビジネスに置き換えてみると、チームで営業をしたり、プロジェクトでモノ創りしたり、問題解決したり。こちらもチームで成果を生み出す活動をしています。しかし、スポーツほど、勝ち負けが明確に出るわけではありません。しかも、個人の成績は、もっと曖昧になります。誰が一番貢献しているかなど、わからないものです(個人営業は別として)

 まして、チーム内の関係性や相性、さらに上手く進んでない時に誰と誰を変えるなんて…。

 つまり、ほとんどの組織が、そのチーム状態を分析したり、原因を解明するデータのないままで、『状態の改善に取り組んでいる』のです。ナビゲーションがついていない車でドライブに出かけたようなものです。今は不便極まりありません。

 ナビゲーションの進化とセンサーの進化のお陰で、自動運転が可能な時代になりました。さすがにチーム運営を自動にするわけにもいかないのですが、少なくとも、精度の高いナビゲーションと感度の良いセンサーに変わるデータが必要になります。

 ビジネス界では、HR techが話題となっていますが、まだまだスポーツの世界にも遠く及ばないのが現状のようです。残念ながら…。

 

―#04に続く―

PROFILE

古野 俊幸(ふるの としゆき) | 株式会社ヒューマンロジック研究所代表取締役
新聞社、フリージャーナリスト、出版社を経て、1994年にFFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のための会社を設立して、現在に至る。現在まで約800社以上の組織・人材の活性化支援。チームの分析と編成に携わった実績は60万人、約6万チームを数える。チームビルディング、チーム編成の第一人者。昨年、大人気漫画を題材にFFS理論を説いた『宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる   あなたの知らないあなたの強み』(日経BP)が10万部越えの大ヒットとなり、今年4月には『ドラゴン桜とFFS理論が教えてくれる あなたが伸びる学び型』(日経BP)を上梓した。

 

【スポーツと自己分析が教えてくれる「あなたをアップデートする方法」/古野俊幸~back number~】

【♯01】<前編>バドミントン元日本代表 潮田玲子さんが教えてくれた「弱みを受け入れる」ということ

【♯02】<前編>サッカーも営業も「自分の持ち味」を知っている人は成功する

【♯03】<前編>バスケに見るチームの関係性とデータ活用

【♯04】<前編>失敗を成功へと導く。リーダーに必要な「声かけ」のポイント

【♯05】<前編>シナジー(相乗効果)を生み出す関係性とは?

【♯06】<前編>育て上手になる

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