COLUMN

【#04】坂井伸一郎│ ニューノーマルのチームビルディングにおける時間と空間の超え方 <後編>

アスリートの競技成果を向上させる座学プログラムを、ビジネスなどあらゆる分野の人材育成メソッドに体系化した「スティッキー・ラーニング」を開発した坂井伸一郎氏。「絞って伝えて、反復させること」をポイントに、多業種のビジネスパーソンを 「戦力」に変えてきた人材育成のプロが、時代の変化に適応するチームビルディングの在り方についてお届けしてきた連載も今回で最終回。コロナ禍により激変した世界におけるチームビルディングの在り方と未来について解説します。

 

#04前編はコチラ>

 

人と人というOSで機能するロジカルシンキング

 二つ目の提案は、人間が持つ五感に対して改めて関心を持つ、です。

 これは今回のテーマ「チームビルディングにおける、時間と空間の超え方」の「空間の超え方」に該当するお話です。ビジネスシーンにおいてロジカルシンキング(論理的思考)がベーシックスキルと位置付けられ、それができていないと社会人としての「いろはの“い”」ができてない人のレッテルが貼られるようになってもう20年近く経つでしょうか。

 この間、私たちはロジカルシンキングのことを“単体で機能する魔法のアプリケーション”のように履き違えていたんだと思います。

 でも実際のロジカルシンキングは、「人と人」というOS(オペレーティングシステム)の上に載ることで初めて機能する“良くできたアプリケーション”に過ぎないのです。だから、テレワークや出勤調整、会議の縮減やオンライン化などによりこれまであたり前であった「人と人」の関係性の希薄化が進むと、辻褄や整合性を訴えたり、数値で正しさを示したり、どんなに理路整然と自分の考えを説いたりしても、「なぜかこれまでのようにうまく仕事が進まない」「なんだか相手との関係がギクシャクしてるように感じる」ということが起こるのです。

 すでにお察しの通り、このことはロジカルシンキングというアプリケーションの責任ではありません。OSを、「人と人」の関係を、「コロナ禍による仕事環境の変化」にしっかり合わせて動かしてやる必要があるのです。

 

オンラインであっても人は五感を通じてしか情報をキャッチできない

 そこでキーワードとなるのが「五感」です。五感と言っても実際に意識していただきたいのは「聴覚」と「視覚」の2つです。

 オンラインや時間が限られた対面ミーティングでは、「とにかく伝えるべきことを伝えなければならない」という意識が強くなり、「何を話すか(What)」に過度に意識が向きがちです。何を話すかだけではなく「どう話すか(How)」にも意識を配るようにしましょう。ここでいう“どう(How)”とはロジックのことではなく、「どんな声色で」「どこに抑揚の強弱をつけて」という意味です。

 自分が有名アニメの人気声優になったつもりで、「この話を、ニュアンスや背景まで余すことなく最大限相手に伝えるためには、どう話すか?」を考えて、少しずつでも良いので実践してみてください。もうひとつは「視覚」ですが、これは特にオンラインミーティングの際、まず画面背景、顔への光の当て方といった環境面にしっかり工夫や投資をしましょう。特にここを疎かにしがちなのがミドルから上の世代の方々です。リアルのビジネスシーンではしっかりと印象管理できていた方々が、オンラインになった途端に趣味感丸出しの背景画像に、逆光かよと突っ込まれそうな薄暗い顔で平気で現れる。

 場所が自宅で、ツールがオンラインに変わったとしても、ビジネスシーンにおいて引き続き印象管理は大切な要素であることを忘れないでいてください。人間は五感を通じてしか情報をキャッチできません。「コロナ禍のビジネスシーン」で「聴覚」と「視覚」の積極的活用を意識することで、仲間や相手との距離感を近づけることができるはずです。

 以上で私の、アスリート育成に倣う「新時代のチームビルディング」のコラムは終了となります。また機会があれば異なるテーマでみなさまのお役に立てるお話を書かせていただきたいと思っております。チームメンバーの力を引き出し、成果を最大化するための試行錯誤は終わることがありません。お互い諦めることなく、精一杯がんばって参りましょう!

 

PROFILE

坂井伸一郎(さかい しんいちろう) | 株式会社ホープス 代表取締役
成蹊大学卒業後、株式会社高島屋に入社して13年間在職。販売スタッフ教育や販売スタッフ教育制度設計も担当した。ベンチャー企業役員を経て、2011年に独立起業。現在は教育研修会社の代表を務めつつ、自ら講師として年間50本・2500名(業界の偏りはなく、製造業・サービス業・金融業・病院・学校法人など多岐にわたる)の研修を行なっている。社会人研修の他に、プロスポーツ選手やトップアスリートに向けた座学研修の講師経験も豊富(年間のアスリート座学指導実績1000名超は、国内屈指の実績)。講師としての専門領域は、目標設定・チームビルディングなど。座学慣れしていないアスリートへの指導経験が豊富ゆえに、「わかりやすく伝える」「印象に留めるように工夫する」という指導法を用いる。この指導教育メソッドを体系化した「スティッキー・ラーニング」は、アスリートのみならず、一般ビジネスパーソンにおいても、組織全体の人材レベルアップを図れると高く評価されている。

 

【アスリートに倣う「新時代のチームビルディング」/坂井伸一郎~back number~】

【#01】村井チェアマンの示唆を受けたビジネスとスポ―ツの相関関係<前編>

【#02】「臨時チームで個の戦力を最大化する方法を教えます」<前編>

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