COLUMN

【#06】目に見えない敵「プレッシャー」の正体と
プレッシャーに強い体質を手に入れる方法
中島 輝 -後編-

自身の引きこもり経験克服を機に独自のコーチングメソッドを開発し、多数の企業経営者、アスリートなどのカウンセリングを務める中島輝氏。ベストセラー『自己肯定感の教科書』の著者であり、“自己肯定感の第一人者”として注目を集める人気カウンセラーが、社会で生き抜くために必要な実践的な技術を連載形式でお届けする。

写真/川しまゆうこ 

 

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プレッシャーに強い人は、「緩衝力」に長けた人

 また、「プレッシャーに強い」「プレッシャーに弱い」という言葉も一般的によく使われるものです。プレッシャーに強い人は、「緩衝力」という力が高まっている人のことです。緩衝とは「不和や衝突をやわらげること」という意味です。ものを梱包するときに使う「緩衝材」をイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。

 つまり、プレッシャーに強い人とは、緩衝力の高さゆえにその場の雰囲気に飲まれずに馴染める人です。あるいは、自分が置かれている状況になんらかの変化が起こったときにも動じることなく柔軟に対応できます。その場の雰囲気や状況の変化といったものを、やわらかく受け止めることができるのです。

 一方、プレッシャーに弱い人は逆に緩衝力が低い人のこと。これは、「頑固な人」と言い換えることもできます。自分のなかに「この場はこうあるべきだろう」というふうなかたくなな思考があるため、プレッシャーに強い人とは対照的に、その場の雰囲気や状況の変化をやわらかく受け止められず、「こんなはずじゃない……」というふうにプレッシャーに飲み込まれることになるのです。

 プレッシャーに弱い人には、先の「この場はこうあるべきだろう」だとか「絶対に」「こうしなければならない」といった態度や言動の癖が見られます。つまり、頑固というわけです。

 このことから少し話を広げてみましょう。プレッシャーに強い一流のアスリートには、他の選手のものまねがうまいという特徴もよく見られます。たとえば、メジャーで活躍したイチローさんは、子どものときに地元・中日のスター選手だった田尾安志さんや谷沢健一さんのフォームを真似していたそうですし、いままさにメジャーの顔となっている大谷翔平選手も、日本ハム時代に憧れていたブライス・ハーパー選手(現・米フィリーズ)の真似をしていたという話も聞きます。そして、ときには、ものまねをするなかから自分に合ったものを取り入れ、自分のプレーのスタイルやフォームといったものを変化させることもあります。

 それこそ、「こうあるべきだ」という頑固な思考とは真逆の、柔軟な思考を持っているということ。つまり、プレッシャーに強い一流のアスリートは、やはり緩衝力に長けているといえるのです。

投打の二刀流で全米を席巻し、満票でア・リーグMVPに選出されたエンゼルス大谷翔平選手。常識を覆す偉業は、頑固な思考とは真逆の柔軟な思考から成されたといえる。/ Getty Images

プレッシャーに強くなるには、「視野」を広げる

 そう考えると、プレッシャーに強くなろうと思えば、やはり緩衝力を高めるということに尽きます。そのためには、「視野を広げる」ことを意識しましょう。視野を広げることで自分のなかの頑固さをほぐすわけです。

 視野を広げるその対象は、それこそなんだってかまいません。いつも決まったお茶を飲んでいるのだったら、たまには別のメーカーのお茶を飲んでみるといったことです。

 「これがここの看板メニューだから」と、飲食店で決まったものばかり食べている人はいませんか? それでは、まさに自分の視野を狭めて頑固さを強めているようなもの。メニューをあらためて眺めてみてください。一度もオーダーしたこともないものがいくつも見つかるはずです。今後は、積極的に「冒険」することをおすすめします。

 もちろん、食べ物や飲み物に限らず、あらゆることに対する視野をどんどん広げていきましょう。好きな作家の本ばかり読むのではなく、これまで手を出していなかった作家やジャンルの本を読んでみる。敬遠していた音楽を聴いたり映画やドラマを観たりしてみる。そういうことを繰り返すうち、あなたの緩衝力は徐々に高まっていき、プレッシャーに強い体質を手に入れられるでしょう。

 ただ、ちょっと矛盾するようですが、重要な試合やプレゼン、商談といった場に臨むときには、「ルーティンを決めておく」ことも大切です。先に、プレッシャーを感じ過ぎてしまうと「こんなことが起こったらどうしよう……」というふうに先のことをネガティブにとらえがちになるとお伝えしましたが、それはプレッシャーを感じるあまりに考え過ぎてしまうために起きること。そこで、ルーティンを淡々とこなすという行動に意識を向ければ、考え過ぎることを防げます。

 「今日はなにを食べようか……」などと考えを巡らしていると、余計なことまで考えて先のことをネガティブにとらえてしまいます。そうではなく、重要な場に臨むときには必ずカツ丼を食べると決めるというふうに、余計な思考をストップさせるのです。他にも、勝負ネクタイなど服装を決める、会場に入るときには必ず右足から入るなど、自分なりのルーティンを決めてみてください。きっと、余計な思考を巡らすことなどなくやるべきことに集中できるようになり、プレッシャーに強くなれるはずです。

 ふだんの日常では様々な経験を通して「視野を広げる」、勝負の場に臨むときには事前に決めた「ルーティンを守る」。このふたつが、プレッシャーに強い体質をつくる2大原則です。

 

PROFILE

中島輝(なかしま てる) | 「トリエ」代表 /「肯定心理学協会」代表
心理学、脳科学、NLPなどの手法を用い、独自のコーチングメソッドを開発。Jリーガー、上場企業の経営者など1万5000名以上のメンターを務める。現在は「自己肯定感の重要性をすべての人に伝え、自立した生き方を推奨する」ことを掲げ、「肯定心理学協会」や 新しい生き方を探求する「輝塾」の運営のほか、広く中島流メンタル・メソッドを知ってもらうための「自己肯定感カウンセラー講座」「自己肯定感ノート講座」「自己肯定感コーチング講座」などを主催。著書に『自己肯定感の教科書』『自己肯定感ノート』(SBクリエイティブ)など多数。
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