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木村文子 × 鷲巣大輔│<第1回>スポーツフィールドで学ぶMBA式ビジネススキル「オリンピアンから学ぶ、目的達成のための戦略思考」

 

 

木村選手の選手生活を支えた目標と目的の解釈の違い

鷲巣 木村選手は大学を卒業した後エディオンに入社され、すぐに日本陸上競技選手権大会で日本一に輝いています。当時の環境の変化はいかがでしたか?

木村 それまで学校生活の一環としての部活動から、陸上が仕事になりました。当然、結果が求められるようになります。そこは自分のために取り組んできた学生時代とは大きく異なるので、モチベーションをどこに持っていくかが重要になりました。例えば、オリンピック、世界陸上は目標であって、自分がなぜ競技者としてやっているのかとは違います。会社のためにというのは実業団として当然なのですが、私は地元・広島の方たちへの貢献というのが大きなモチベーションになりました。そんな目的が私の支えになったことはまちがいありません。その軸があると、目標に対する捉え方にもエネルギーが沸いてくるようになるんです。

鷲巣 「目的」と「目標」の捉え方ですね。過去のインタビュー記事を拝読しても、おそらく木村選手は記録や結果を超えた先にある大きな「目的」を持たれた上で、競技に臨まれていたのだと思っていました。

木村 教員になりたかった時の目的は「子どもたちのために」だったと思います。オリンピックに出てから競技者として経験値が一段階上がり、今度は「この経験を後進に伝えたい」という想いが強くなりました。

鷲巣 木村選手はロンドンオリンピックでも東京オリンピックでも、「成長」というキーワードを大事にされていた印象があります。

木村 自分に成長する可能性がある内は競技と向き合おうと思ってやってきました。運よくロンドンオリンピックを経験させてもらったのですが、同時に世界との力量の差も見せつけられました。でもここで私が止まったら、日本の女子100mハードルも止まってしまうと思い、毎年のように海外でトレーニングを積むようになりました。どんどん世界の輪が拡がっていくことで、自分の心持ちが変わっていくことを実感しながら続けていました。

鷲巣 例えばリオオリンピックに出場できなかったり、ケガがあったりなど、競技者としての目標だけではモチベーションを保つのは難しかったのではないでしょうか。でも、木村選手はその先にある目的が頭の中にあったからこそ続けられた。

木村 そうですね。結果だけであればリオオリンピックに出られなかった時点で辞めていたと思います。でもお世話になった方が後押ししてくれことで、競技を続行することになりました。

鷲巣 木村選手のお話は非常にレベルの高い世界の話ですから、すぐに我々が木村選手のような考え方ができるかは難しいかもしれません。でもここまでお話を聞かせてもらったなかで、僕自身が学んだことをお話させていただこうと思います。

 今日のテーマである「戦略は目的を達成するための資源の解釈である」というお話をさせていただきましたが、木村選手は目的と目標が明確に区別がついていますね。競技者としての目標をクリアすることはもちろんですが、すべてがもう一つ高いところに目的が存在する。最初は教員になりたかったものが、抽象度が上がり次世代に自分の体験談を伝えたいという想いに変わりました。それがあるからこそ、ケガや競技面での挫折があっても自分が成長できるなら続けるという考えのもと、モチベーションを保ち続けることができた。やはり目的をどう考えるかが重要ということを再確認しました。さらに木村選手は監督や仲間と一緒に考えて、自分の感覚を理解し、再現性を高めるということもされてきた。他の人からはすると「ない」と思えた資源に対し、木村選手は「ある」と解釈し、しかも自分にとってそれを強力な資源とした。改めて資源の解釈というものは創造性があるのだなと思いました。

Getty Images

 

変化、挑戦、失敗をどう捉えるのか?

鷲巣 アメリカなど海外に拠点を移したのは、何か発見があってのことだったのですか?

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