/interview/38695/

ONLINE SEMINAR

ONLINE SEMINAR

平岡拓晃│「『失敗=ダメ』じゃない」~指導者が持つべき心得~

自身の経験から、「失敗と向き合うことの大切さ」を子どもたちに伝えているロンドン五輪柔道男子60キロ級銀メダリスト平岡拓晃氏。失敗を経験して諦めそうになる子どもに対して、指導者や周りの大人ができること、するべきことなど、競技を超えて、指導者が心得ておくべきことを伺った。(※2022年4月に収録)

小学生全国大会廃止が与える影響

──今年4月に、全柔連が小学生年代の全国大会を廃止しました。

 

「従来の制度から方向性を変えるために、全日本柔道連盟が素早く判断をしたということに関しては素直に嬉しかったです。これまで柔道の指導が年齢に応じた指導なのか、という点は問題視されてきていました。また、柔道には減量があるので、階級を下げることで勝つチャンスが広がれば無理な減量を敢行してしまいがち、このような減量を成長期の子供たちが繰り返し行うとその後の健康状態に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。
また、身体が大きい子どもはそのときの身体の大きさだけで勝てる柔道を選択してしまい、その後も身体の大きさを生かした柔道に留まり、さまざまな技術が身に付ける事ができなくなってしまう、そういった声も耳にします。そして、今回の全国大会廃止の決定は、勝利至上主義に警鐘を鳴らす意味合いもあると思いますが、根本的に変わるのかなと疑問もあります。全国大会はなくなりましたが、それに変わってしまう大会が出てきてしまうんじゃないかなと思ってしまいます。今回の決断のメッセージの本質はなんなのか、私も含めてですが、柔道に関わる人間はこの問題については深く考えていく必要があります]

 

 

経験したことに無駄なことなど一つもない

──2008年の北京五輪では、初戦敗退を経験しました。

 

「前大会までオリンピック3連覇を成し遂げた野村忠宏さんから代表権を奪い取ったにもかかわらず、初戦で負けてしまうなんて、柔道界であってはならないことです。それを私は経験しました。もう14年も前のことですが、敗戦後に畳から礼をして階段を降りていく場面を今でも鮮明に覚えているくらいです。負けた時は頭が真っ白になり、『ああ、これで自分のオリンピックは終わったんだな』という思いと、自分に対する不甲斐なさが一番にありました。日本に帰ってきても、部屋に引きこもりのような状態で、言わば腐っていましたね。しかし、ある事をキッカケにまずはその失敗から向き合うという作業から始めました。なぜ負けたのかを分析し、敗戦に対する批判も含めて振り返る作業を丁寧に行っていきました」

 

──批判も多かった中、自分を批判する言葉を受け入れるというのはずごく難しい気がします。

 

「その時、失敗に向き合わないことが、本当の失敗なんだということに気づいたんです。何かを変えたい、変えなきゃいけないという想いから今まで取り組んでいなかった柔道ノートも書き始めました。そうすることで自分が行ってきた努力の足跡をロンドン五輪直前には振り返ることができたし、いろいろな人に感謝をしながら柔道ができていなかったということにも気づきました。これまで必要としていなかった物事について取り掛かることができたことで、今まで経験してきたことに無駄なことは一つもないということにも気づけたんです。ロンドン五輪の表彰台では、感謝の気持ちしかなかったですね。支えてくれた人たちにも、批判をした人たちにも」

 

ここから先はプレミアム会員限定コンテンツです。
アカウント登録をしてください。
今ならプレミアム会員に新規登録で14日間無料!
アカウント登録 ログイン

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。

RECOMMEND

MENU