プロサッカー選手で株式会社NewSPO.エグゼクティブアドバイザーの都倉賢選手(V・ファーレン長崎)、パーソルキャリア株式会社執行役員の大浦征也氏を迎えて、オンラインセミナーを開催。Jリーグの過酷な環境下、数々の怪我を乗り越えてきた都倉選手が育んだアスリートマインドとは? キャリアアドバイザーのスペシャリストとして、アスリートのセカンドキャリア支援にも尽力する大浦氏とともに、ビジネスフィールドにおけるスポーツ経験の活かし方について訊いた。
目次
「外の世界」での経験から得られたコンパス
──都倉選手が現役アスリートでありながらワイナリー(ワイン製造)を始めたきっかけは?
都倉 イニエスタ(ヴィッセル神戸)のワインを飲んだのがきっかけです。彼もスペインでワイナリーをやっています。彼が神戸に移籍する頃、たまたま行った飲食店にイニエスタのワインが置いてありました。酔った勢いで「サッカーでは勝てないけど、ワイン造りならワンチャンあるのかも」とツイートしたら、翌日のヤフーニュースのトップ記事になりました。それを見たワイン関係者から多くの連絡をいただく中で、共通の知人がいる方とつながれました。その方と試行錯誤しながら始めました。
──人生は何があるか分かりませんね。発信することの大事さを感じます。
大浦 ただ、誰が発信しても同じ結果になっていたとは限りませんよね。北海道のワイナリーですから、札幌時代の都倉さんを見ていたのかもしれません。SNSで発信する前から「都倉さんと組むと、面白いビジネスができるかも」と思っていたことも考えられます。もっと前の話から興味がありますね。
都倉 僕は小さい頃から、エスカレーター式に人生を進んできました。でも、ヴィッセル神戸を解雇され、縁もゆかりもないデンマークに海外挑戦した時に「自分は何者でもない」と気付きました。世の中の人は、思った以上に自分に興味がない。その経験がすごく大きくて、SNS周りを整えて自分を発信していくようになりました。Facebook・Instagram・Twitter、色んなSNSの特徴を使い分けながら今でも発信しています。
大浦 ビジネスで力を発揮するには、自分を客観視して現在地を把握することが重要です。目指したいゴールに対して、自分が今どこにいるかをコンパスで確かめる。そのコンパスは、都倉さんのように外の世界に出る経験から得られます。あと、都倉さんのお話で「整える」という言葉がありましたね。別の言い方をすれば、日々の活動の意味を言語化して、タグを付けて整理したうえで発信する。整えておくことで、いざ必要となった状況ですぐに使えるのです。それが後々何かにつながることもある。都倉さんは、昔からそういう事ができていたのだと思います。
都倉 ずっとスポーツに打ち込んできたからこそ、選手になれた部分もあります。でもいつかは引退が来るので、25歳を過ぎた頃からセカンドキャリアに向けて「何かしなきゃ」という危機感が生じました。ただ、実社会と交わってきた時間が少ないから、具体的に何をすべきか分からない。まさにコンパスがない状況でしたね。それで、身近でお金もかからず、うまく行けば認知度も上がるSNSを始めました。選手にとってはメリットしかないツールだと思います。
実名と匿名の特性を意識したSNSの活用術
──大浦さんは「HEROsアカデミア」で、たくさんのアスリートと交流していますよね。社会に出る一歩手前のアスリートの現状を、どのように見ていますか?
大浦 実は都倉さんもアカデミア仲間で、今日は久しぶりにお会いできました。前向きな言い方をすると、現役中から後のことを考えるアスリートが増えた印象はあります。20年くらい前はSNSもなく、「現役中からセカンドキャリアを考えるなんてもってのほか」という風潮がありました。ただ、昔より増えたとはいえ、そういうアスリートばかりではありません。都倉さんは、現役バリバリでワイナリーを経営していながらも、なお学びに来ようとしていたわけです。そういうアスリートはかなり限られますね。
──外の世界と交流するツールとして、SNSの存在は大きいですよね。アスリートが情報発信するうえで、どのようにSNSを選べば良いのでしょうか?
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