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【♯06】塚本亮│「自己肯定感」を高める7つの方法<後編>

子どもの成長のために、良かれと思って言っていることが実はマイナスに働いていたり、「育てよう」と強く思うほど、「育たない」ことにつながる。そんな悩みをみなさんお持ちなのではないでしょうか? 『すぐやる人とやれない人の習慣』(シリーズ40万部突破)の著者であり、心理学に基づいた指導法で教育コンサルタント、メンタルトレーナー、心理カウンセラーとして活躍する塚本亮さんが、子どもの「心」を強くするための習慣ついて連載でお届けします。

文=塚本 亮

 

「自己肯定感」は子どもの成長を見守る上でとても大きな柱と言えます。自己肯定感が高い子どもは自分の存在を認め、自分の良いところも悪いところも受け止めることができます。一方で自己肯定感が低い子どもはその逆で、自分のダメなところばかりが気になって自分の価値が見出せません。

これは大人になっていくうえでどのように子どもが物事や自分自身を捉えるかに大きな影響を与えますから、親子で一緒になって考えたいテーマですね。

前回からその自己肯定感の高め方についてご紹介しています。今回は残りの4つをお伝えできればと思いますのでぜひご活用ください。

 

その4 比較しない

あの子はちゃんとできるのに、どうしてうちの子は……。

頭ではよくないとわかっているのに、ついわが子とほかの子どもを比べてしまうこともありますよね。

情報社会はいろんな情報で溢れかえっています。小学校2年生でOOができる子がいたり、すごい才能を持った子の情報を目にしては、子育てに焦りを感じることもあるでしょう。たくさんの情報に不安を煽られることもしばしば。

しかし、長期的な子どもの成長を考えると何より大きなマイナスは自己肯定感を下げてしまうことです。

「あの子はもう〇〇ができるのに、あなたはなぜ……」
「みんなはちゃんと〇〇してるのに」

こうなってしまうと、できない自分=ダメな自分、ということを繰り返しすりこむことになってしまいます。

できる子に対して嫉妬心を持ちやすくなります。子どもはコンプレックスにとらわれるようになり、自分の得意分野を伸ばすことに時間をかけられなくなってしまいます。他人のことに気をとらわれて、本当の自己実現ができなくなっては「自分らしい子」からは大きく遠ざかってしまいますね。

ですから、
「〇〇は〇〇のままでいいよ」「自分のペースで成長していけばいいよ」と絶えずに話してあげましょう。つまり物差しを他人ではなく、子どもの成長に当てるわけですね。

昨日よりもできるようになっていることにフォーカスして声がけをしてあげましょう。

社会は競争にあふれています。学校に行けば、常に比べられます。子どもをそれから守れるの親しかいないかもしれませんね。比べないと言っても比べてしまうのが人。完全には無理でも心がけだけでも大きな違いにつながるでしょう。

 

その5 聞く

子どもがどんなことを言っても、まずはしっかりとそれに耳を傾けることが大事です。大人からすると「そんなこと当たり前でしょ」とか「絶対無理に決まってるでしょ」と思うようなことを平気で口にするのが子どもです。しかしこれは大人とは経験値が圧倒的に違うわけですから自然なことですよね。

ここで、否定や決めつけをしてしまうと子どもの自己肯定感を下げることになってしまいます。子どもの言葉は一度受け入れましょう。すぐに「そんなことはないでしょ!」とか「こっちの方がいいに決まってるよ」と意見を押し付けられたりすることによって、大人は自分の意見や感情を聞いてくれないと思うようになります。

受け入れられないと感じることを積み重ねると、他人を受け入れる力、認める力も低下してしまいます。自己肯定感の高い子は、「すごい! あの人」と他人のことを素直み認め、他人の成功を一緒になって喜ぶことができます。

「そうなんだ! どうしてそう思うの?」
「どうやったらそれができると思う?」

という声がけにスイッチしてみましょう。反射的に否定的な言葉が出てきそうになることがあるとは思いますが、少しずつでもいいので否定的な言葉を質問に変えることで、聞くという姿勢を子どもに伝えましょう。

 

その6 To doを一緒に整理する

いろんなことが起こる毎日ですが、状況をコントロールできている感覚はとても大切です。

特に夏休みの宿題などはそうですが、やらなければいけないことが多くてどうしていいかわからないと状況に陥るとコントロールできている感覚も低下しますから、結果的に「やりたくない」という気持ちが強くなります。課題を前向きに解消しようという気持ちが持てなくなってしまうスパイラルにハマるわけですね。

その対策としては、親子で一緒にto doリストを整理するのが効果的です。大きなステーキをそのまま食べるのではなく、食べやすい一口サイズにカットするというイメージです。

付箋と紙を準備して、やらなきゃいけないことを細かく整理していくのがオススメです。漢字ワーク5-10ページ、計算ドリル13-18ページなどといった風にだいたい30分くらいでできるものに切り分けていきます。

大量の課題も小さな単位に整理することで1つ1つがこなしていけるという感覚であったり、どのように小さな単位に整理すれば楽になるのかなどを学ぶことで、自分で課題を因数分解する力を習得することができるのです。

少しずつでもいいので否定的な言葉を質問に変えることで、聞くという姿勢を子どもに伝えましょう。

 

その7 やったことリストを作る

先ほどの話ともリンクするのですが、できる限り「やったことリスト」を記録していくことも大切です。「これだけのことをやってきたんだ」「こんなにも頑張ったんだ」という気持ちが自信につながるからです。

ですから、さっきの付箋であれば、完了したことも「やったことリスト」に付箋を貼っていけば、「もう全体の1/3がおわたったんだ」などいった風に自分の頑張りを振り返ることができます。ですから付箋は捨てずに「to doリスト」から「やったことリスト」に移してみましょう。

こうやって自分を自分でコントロールできている感覚を高める仕組みを作ってあげることで、自分を認める力も高まりますし、それが自己肯定感の向上につながっていくのです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。子育てを通して大人も子ども一緒に成長していけるような取り組みが理想的ですよね。一朝一夕にはうまくいかないことばかりだとは思いますが、ぜひ常に成長思考でいきましょう。

次回も宜しくお願い致します。

 

──第7回に続く──

 

PROFILE

つかもと・りょう
ジーエルアカデミア代表取締役、マッチャモーレ京都山城代表、同志社大学嘱託講師。高校時代、偏差値30台、退学寸前の問題児から一念発起し、同志社大学に現役合格。卒業後、ケンブリッジ大学大学院で心理学を学び修士課程修了。帰国後、京都にてグローバルリーダー育成を専門とした「ジーエルアカデミア」を設立。心理学に基づいた指導法が注目され、国内外の教育機関や企業、トップアスリートなど6000人に対して世界に通用する人材の育成・指導を行っている。著書は『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』(明日香出版社)など多数。新著「ヤバいモチベーション完全無欠のやる気を手にする科学的メソッド50」(価格:1,500円税抜/発行:SBクリエイティブ)発売中。

 

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