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大山加奈│「人生を豊かにしてくれたスポーツ。だからこそ子どもの未来を奪うものであってはならない」

現役時代は日本代表で一時代を築き、引退後も競技の裾野を広げるべく精力的に活動している。小中高すべての年代で日本一に輝いたエリートは、その輝かしい経歴を誇るのでなく、勝利至上主義の育成現場に異を唱える。(※2020年6月に収録)

結果ではなく、努力の先に得たものが人生の財産になる

──まず「スポーツx教育」のテーマについて、大山さんは子どもの成長にどんな影響があると感じていますか?

「スポーツは人格形成や子どもたちの健全な育成につながる、色んな価値があると思っています。スポーツが持っている価値が世間でもっと認められ、広まっていくといいなと思っていました。ぜひ応援させていただきたいなと思いました」

 

──バレーボールをやってきて良かったことは?

「私自身が小、中、高と全国制覇を果たしてきました。でも、バレーボールをやってきて良かったことは『日本一になったこと』ではないんです。一番は仲間ができたことだと思っています。小さい頃は自分に自信が持てなくて、どちらかというと暗い性格の子どもだったんです。こうして皆さんの前でお話していることが信じられないくらい。バレーボールのおかげで自信を持つことができて、人生が大きく変わったと思っています。それは日本一になったことは関係ないと思っています。結果ではなく、努力した先に得たものが競技を離れても人生に役立つ、財産となっているのだと思います」

 

──子どもの引っ込み思案が治るというのは、多くのお母さんが悩み、望んでいることだと思います。

「私は喘息があって、身体がすごく弱かったんです。小学校も年間に4、50日は休まなくてはいけないくらい悩まされていました。小さい頃は体育の授業も見学ばかりしていて、身体を動かす経験がほとんどありませんでした。だから運動に対してもすごく苦手意識を持っていたんです。妹は私と真逆の健康体で、年間で1日しか学校を休まなかったくらい。活発で明るくて、勉強もスポーツもなんでもできてしまう人間でした。そんな妹を比較対象にしてしまい、姉としてずっとネガティブに捉えていたんです。それがバレーボールを始めたことで、みんなが『すごい!』と褒めてくれるようになりました。特に大きかったのが小3の時の担任の先生が、みんなの前で特技を披露する『得意なもの大会』を開いてくれたんです。私は同じクラブの子とトスを落とさずに50回続けようと挑み、本番で200回もできたんですよ。先生が本当に頑張ったね、と褒めてくれて、それが今でも忘れられないんです。みんなが認めてくれて、それが私が大きく変われたきっかけでした。そこからはバレーボールの道を突き進み、喘息も克服して、健康な身体を手に入れることができました」

 

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