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個人としての結果も求められる、キャプテンの難しさ
――リーダーとして色んな経験をされる中で、成功もあれば失敗もありますよね。自分に活きた経験はありますか?
佐藤 2011年のシーズンオフに、キャプテンを辞めようと考えたことがありました。個人成績が2009年ごろから下り坂でキャプテンとしての説得力に欠け、試合に出続けるのは難しいと思っていました。新しく森保さんが監督になるタイミングで、キャプテンを辞めたいと伝えました。すると、「キャプテンとしてチームをさらに良くしていってほしい」と声をかけてもらって。それで、5年目のキャプテンを務めさせてもらいました。「キャプテンとして」よりも「選手として」もう一回ゴールを奪うことにフォーカスして、自分でその責任を背負おうと思えたのです。その当時は怪我もあったのですが、自分自身よりもチームへの意識が強すぎて、バランスが崩れていました。個人としての結果に対する逃げと言いますか、自分自身が弱かったかなと思います。
――キャプテンはチームのために動かなければいけないから、個人の成績は仕方がない。これが、ある意味「他責思考」になっていたということですね。
佐藤 そうですね。それを一回取り払いたいなと言うのがありました。森保さんも、僕のチームに対する思いの強さは分かってくれていて。「辞めるのではなく、やりながら。でも個人のプレーに集中していいよ」と言ってくれました。
――なるほど。お二人がキャプテンをやっていて良かったなと思う瞬間は、どんな時でしょうか?
佐藤 やっぱり、皆で優勝できた時。キャプテンだからこそ、優勝のシャーレを掲げられます。反対にカップ戦の決勝で負けたら、一番前で準優勝の表彰を受けないといけない悔しさもありますけどね。
嶋 やはり、チームが勝った時の「また明日も行くぞ」という前向きな雰囲気。チームが上手く循環すると、キャプテンとして良かったなと感じますね。一週間に6回試合があるので、それこそ6連敗、10連敗ということも経験しました。そんな時は試合に出るのが怖くて、「ここから逃げたい」と思う事もありました。
――そういった負の連鎖から脱却するために、どんなことをされていますか?
嶋 これも一度、星野さんに「もうだめです。外してください」と相談したことがありました。でも、「野球で悔しい思いしたのなら、野球で返してこい」と跳ね返されましたね。野球は似たシチュエーションに出くわすことが多いので、そこで結果を出すしかない。その一心でした。
――そのまま人生にも使えそうな言葉ですね(笑)。目の前で起こった出来事を一度ちゃんと受け止めなさい、ということですよね。
嶋 はい。逃げないで受け入れて、また同じ場面が来た時にリベンジする。お酒を飲んでも、おいしいご飯を食べても、買い物に行ってもその悔しさは晴らせないですから。
佐藤 監督からの信頼もあったのでしょうね。この言葉をかけたら、きっとプレーでしっかりと応えてくれる。そんな信頼が、言葉からも感じられますね。
チームメンバーを見て、把握する。キャプテンに欠かせない第一歩
――キャプテンになることが決まった時に、チームの中で最初に仕掛けるべきことはありますか?
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