年齢としては大人に一番近いところにいるユース世代。彼らは技術こそ超一流であっても精神はまだ子どもと大人の狭間にある。複雑な人間関係の中で、ユース世代が自ら「自覚して、言語化して、発信して、行動する」そんな選手に導くにはどんなアプローチ方法があるのだろうか?ゲストに、JFAユース育成ダイレクターの影山雅永さんと、水戸ホーリーホック取締役GMの西村卓朗さんをお招きし、選手の育成について多くの知見を持つお二人に、育成年代に必要なチカラ、選手育成のために指導者が知っておくべきことを聞いた。(※2022年3月に収録)
目次
早くから世界に目を向ける選手が増えている
──影山さんは、U-20日本代表の監督を務めいらっしゃいますが、選手の意識もグローバル化しつつあるのでしょうか。
影山 日本代表の育成チームは、海外遠征を重視する方針となっています。代表になったばかりの15歳頃は海外が初めてで、食事のマナーを知らない選手も多くいます。でも18歳くらいになると、年代別のワールドカップで海外チームと戦う経験を積めますから代表常連の選手は慣れてきます。ただ、昨年インドネシアで開催予定だったU-20のワールドカップは、コロナの影響で中止になってしまいました。
──昨年は残念でしたが、海外経験を積める環境が整ってきているのですね。
影山 ただし、この二年間はコロナ禍により海外経験が全くできていません。極東の島国なので、いくらリーグ戦が発展しても海外経験は積めませんから、この二年間の遅れが今後に響かないように、ますますスピード感をもって取り組んでいかなければと思っています。
──ここ最近は、早いうちから海外クラブに移籍する選手が増えていますね。その点は安心材料でしょうか?
影山 はい、意識は高いですよ。早くから世界に目を向けるようになったのは間違いないと思いますね。去年の東京オリンピック日本代表は、半分が海外組。U-20の代表でも2、3人はもう海外でプレーしています。そういう先輩を見ているので、育成年代の代表選手も「海外でプロとしてやっていきたい」という目標を掲げる選手が増えています。
──U-17代表の育成では、森山佳郎さん(現U-17サッカー日本代表監督)と影山さんが連携を図っていると聞きました。
影山 勝つことも大事ですが、個々の選手を上のカテゴリーに昇格させていくことも大事です。そういう意味で、U-17の監督とU-20の監督という縦の関係を大事にして臨んできました。僕と森山さんは連続して日本代表監督を務めていますが、これは初めてのことです。そして、U-17とU-20のワールドカップに2大会連続で出場しているのもそうです。U-20は4大会連続、ほぼ10年間出られませんでしたから。
大人が連携し、あらゆる角度からサポートする
──西村さんは、水戸ホーリーホックでGMとしてだけでなく強化部長も務めていますね。
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