育成年代の選手に成長において、近年重要視されるキーワード「振り返り」。東京都サッカー協会技術委員長を務める中田康人氏をお招きし、指導現場における振り返りの本質、そして実践方法について伺った。(※2022年8月に収録)
目次
ポジティブな思考にしてあげられる振り返り方が大切
──指導者はすごく忙しい印象が強くあります。毎日子ども達を見ながら、保護者の対応も必要で、振り返る時間がない方も多いのかと思います。
「その通りですね。指導者にはピッチ以外での仕事も沢山あって、時間を作るのが難しい方が大勢います。指導者以外の仕事を抱えている方も少なくありません。そういった方々が一人ひとりの選手に目を向けながら振り返るのは、非常に大変だと感じます」
──振り返りでは、どんなことが重要となるのでしょうか?
「振り返りで一番のメインとなるのは、やはりゲーム(試合)です。何ができているか、何が足りないか、ゲームを通して見極める。ただし、年代ごとに『獲得すべき項目』があります。何となく俯瞰するのではなく、獲得すべき項目を整理したうえで振り返ることが大事です」
──ただ、ゲームは毎日あるとは限りませんよね。
「そうですね。だからこそ、ゲームを振り返って分析したものを、日々のトレーニング(練習)の中に落とし込む必要があります。さらに、トレーニングの中でも上手くいった部分・いかなかった部分、上手くいかなかった原因など、日々振り返ることが大切です。具体性を持たせると、振り返りやすくなります」
──中田さんはTFA(東京都サッカー協会)の技術委員長であり、周りの指導者のトレーニングを見る機会も多いと思います。
「クラブ指導者の多くは、日々のトレーニングでもしっかり振り返っていますね。あとは、ここ10年ほどのテクノロジーの進化で、指導者の振り返りが容易になっているなと感じます。週末だけ携わっている一般の指導者でも、スマートフォンやタブレットで手軽に振り返っています」
──欠点ばかりを探してしまう指導者も少なくありませんよね。課題を抽出することも大事だとは思いますが、いかがなものでしょうか?
「私自身も、どちらかと言えばできないこと、課題ばかりを挙げる時期がありました。でも、選手がその課題に対して納得感を持って取り組むかというと、そうではありません。今では、ポジティブな思考にしてあげられる振り返り方が大切だなと感じています。良いプレー、良かった点は褒めてあげたうえで、こうするともっと良くなる。言葉尻を工夫するだけでも変わると思います」
個々の選手に落とし込む振り返り方を
──中田さん自身は、どういった方法で振り返っていましたか?
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