/interview/40082/

ONLINE SEMINAR

ONLINE SEMINAR

斉藤祐也│スポーツ指導で「伝えられる」こと

ラグビー日本代表としても活躍した斉藤氏は、2011 年に現役を引退後「コーディネーション・アカデミー」を立ち上げ、子どもの球技全般&陸上(かけっこ教室)&ダンス融合のスポーツ教室を開催し、全国各地でのラグビー指導を通じて普及活動を行っている。子どもの情熱を引き出し、「集中力を切らせたら負け。楽しんでなければ負け。学びがなければ負け」と、常に真剣勝負の斉藤氏のスポーツ指導。その中で特に大事にしていること、子どもに「伝えられる」こととは。

「心の成長」を大切にしている

──斉藤さんがスポーツ指導者になったきっかけは?

 

「スポーツ指導を始めて丸9年になりますが、ラグビー引退後は色んな仕事をしていました。SNSであまり発信していませんが、スポーツとは関係のない営業職です。それで、今お世話になっている南長崎スポーツセンター(豊島区)へ営業に行く機会もありました。僕のことを知ってくださっていて、『ラグビー選手としての経験を活かせないか』という話をいただいたのがきっかけです」

 

 

──今ではご自身のスポーツ教室を経営されていますよね。

 

「チアダンスや野球、サッカーなど、色々なスポーツを指導できる教室を作りました。ラグビー選手として活動してきましたが、小さい頃から色んなスポーツをやっていたので、子どもにも色んなことを教えています。今日も指導現場に立ちましたが、やはり子どもと会う時はめちゃくちゃ気合を入れますね」

 

 

──スポーツの指導現場に出るうえで意識していることは?

 

「一番気を付けることは、まず環境ですね。体育館やグラウンドに、危ない物が落ちていないか。人工芝のサッカー場だと、飛び出しているゴールが危ないので片づけることもあります。スポーツ指導は色々と気を遣う必要があるので、すごく難しいですね」

 

 

──子どもにはどのように接していますか?

 

「まず、『この人なら安心して指導を受けられる』という信頼関係を構築します。今やっているスポーツ教室には、シャイで話すのが苦手な子も多くいます。その子達に楽しんでもらうために、とにかく面白い話をする。その子が好きな物を聞き出して、それに合わせて話す。そうやって、信頼関係を構築することが大事です」

 

 

──最近では、自分からコミュニケーションをとる子が減っていませんか?

 

「全くそうは感じませんね。『心の成長』に重きを置いている僕のスポーツ教室では、よく話す子が本当に増えました。体験のお友達が来たときも、皆がワーワー話をする。グループ作りで漏れてしまう子がいても、それに気づいてチームに誘い入れることが自然にできる。『できる子ができない子をサポートする』という、いい雰囲気ができていますね」

Getty Images

その子なりの強みを見つけることが、自信につながる

 

──勝つことを優先すると、子どもたち同士の支え合いが難しくなることもありますよね。

 

「チームを作って試合するので、勝った・負けたは当然ありますね。ただ、負けたチームは勝ったチームをたたえて、勝ったチームも負けたチームのことを考えよう、と指導しています。若年層においては、勝利至上主義であるべきではないと考えています。勝った時の感動は良いものですが、負けた時の悔しさや、負けたチーム・選手の気持ちも分からないといけません。それが僕のスポーツ指導のベースになっています」

 

 

──勝利至上主義になると、できる子とできない子の差が浮き彫りになってしまいますよね。

 

「子どもによって足の速さや体格などの能力差はありますが、その中でも自分の強みを作ろうと話しています。足が遅いから活躍できない、身体が小さいから活躍できない、ということはありません。たとえば、チームのムードメーカーになる。率先して作戦を提案する。それが成功するとチームが良い雰囲気になります。積極的なコミュニケーションやフォローも、強みになると思います」

 

 

──強みを見つけることが、自信につながりますよね。

 

「そうですね。スポーツ教室では5種目の体力テストをやっていますが、身体が成長すると必ずどこかの数字が伸びます。それで自信がついて、苦手な種目も頑張るようになるのです。長距離の苦手だった子が、得意になって好きになることもあります。あとは、スポーツ教室で体力テストをやることで、学校の体力テストでも緊張しなくなるメリットもありますね」

 

 

スポーツの現場では、親や指導者も成長するべき

 

──学業と同じように、スポーツでも『いい所に行かせたい』と思う親は多いですよね。

 

「スポーツの楽しさを伝える、試合をこなして能力を高める、などスポーツチームによって目的が違います。良し悪しを判断するのは子どもや親御さんなので、選択を否定することはしません。ただ、それぞれの目的を理解したうえでスポーツ環境を選ぶことが大事です。僕のスポーツ教室では、同じ子どもに毎週違う球技を教える『ボールパーク』を取り入れています。色んな競技や仲間、コーチに触れることで学びを得てもらうのが目的です。『もう少しサッカーをやりたい』と言う親御さんもいますが、その目的を理解した方だけに入ってもらっています」

 

 

──親の思いが先行すると、子どもの選択肢を奪うことにもなりますよね。

 

「そうですね。皆がスポーツでプロを目指しているわけではないので、子どもの思いも尊重すべきだと思います。スポーツの現場は、子ども・親・指導者の全員が成長する場所です。『自分の子どもが成長すればいい』ではなく、親も成長する必要があります」

ここから先はプレミアム会員限定コンテンツです。
アカウント登録をしてください。
今ならプレミアム会員に新規登録で14日間無料!
アカウント登録 ログイン

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。

RECOMMEND